小論文の書き方 最近入学試験に小論文を課す大学が増えている。受験生の論理的思考力や人間性を見るためである。一般に、小論文を書くことは決してやさしくはない。しかし、論文の書き方の基本をマスターしておけば恐れるには当たらない。さあ、きみも以下の基本事項をマスターし、どんどん文章を書いてみよう。 【1】 出題の形式 タイプ1 タイプ2 タイプ3 【2】論文の基本的な構成(800字の場合)
本論 ・・・・・・・・・・自分の主張を述べ、それが正しいと考える根拠や理由を述べる。(60%〜80%、、480字)
【3】論文作成の手順 1,思いつくままにメモ書きをする。 2,結論を決定し短い文章でまとめ、次に全体の構成を考える 【4】書く際の諸注意 【5】小論文の評価基準
群馬大学 【6】日頃から心がけておくこと
では、日頃から何を心がければよいのか。
7、「最も望ましい答案は、高校時代の自分の体験がにじみでてくる文章です。抽象的で個性に乏しい答案は、中間点以上にはなりません。しかし、受験生の小論文対策が進んだためか、最近はそうした個性なき答案がふえる傾向にあります」。「いわゆる小論文指導というものは、技術面のみが先行していると思います。しかし技術面の偏重は、個性のない紋切り型の文章の習熟に終始してしまい、結局は低い評価しか受けません。むしろ高校生活の中で、クラブ活動や交友、師弟の交わりなどを通じて豊かな感性、柔軟な思考力を磨くことによって、借り物でない自分の視点や考え方を持つことが、早大文学部のみならず、小論文試験で高い評価を受ける早道と考えて下さい」。(早稲田大学文学部 冨田正利教授談)。 8、「論文試験で独創性のある人を採りたい。受験勉強で伸び切った人はいらない。いわゆる普通の試験で「秀才型」の学生を集めることはできる。しかし秀才型ではなくとも、膨大な本を読み、荒削りでもよいから "Original" な考え方のできる学生も採りたい。普通の試験では拾えなかったそういった人材を、論文試験を課すことによって全国の受験生(約50万人)から20人でも30人でもすくえればよい。」(京都大学経済学部 尾崎芳治教授の談話を要約) 【7】よく出題される小論文の問題例 推薦入試 高校時代の活動、大学で何を学びたいか、志望動機、 一般入試 【法学部】
【経済学部】
【国際関係学部・外国語学部・人文系学部】
【教育学部】
【工学部】 【医学部】 小論文が苦手な人へ 小論文が苦手だという人に共通しているのは、以下の4点である。もし、原稿用紙を前にして、何を書いたらよいか思いつかないという人がいたら、次の項目のどれに原因があるのかチェックしてみよう。 小論文が書けない原因
1、心の底から「訴えたいという気持ち」をもつ。 論文を書くうえで一番大切なことは、読者に何かを訴えたいという「気持ち」である。「みなさん、聞いてくださーい。私はこんなふうに考えます」という気持ちが論文を書く際のエネルギーとなる。この気持ちが心のなかに十分高まっていないと、いくら原稿用紙とにらめっこしていても論文は書けない。 ところが、論文が苦手だという人は、えてしてこの「訴えたいという気持ち」がない。すなわち、テーマが与えられたから、仕方なくそれについて書かされているのである。しかし、そもそも書きたいことがないのだから文章が浮かぶはずもない。その結果、論文は苦手だと思ってしまう。このような人にとって有効な処方箋は、 与えられたテーマを自分の身におきかえてみること である。「ゴミ問題」だったら、自分の家の前に不法投棄された高さ10メートルのゴミの山があり、風が吹くたびにほこりが飛んできて洗濯物を汚す光景を想像することである。また、「脳死問題」だったら、自分の親が脳死になって、動いている心臓を取り出す光景を頭に思い描いてみることである。このように、与えられたテーマを自分の身におきかえることによって、「訴えたいという気持ち」が生まれてくることが多い。一般に、社会科学系の小論文では、現状に対する問題の指摘をし、改善して理想に近づけるというパターンをとる事が多い。 2、基本的知識を日頃から収集しておく 無から有は生じない。テーマが与えられたら、指定された字数の少なくとも十倍は書けるだけの知識を持っていることが必要である。800字でまとめよと言われたら、少なくとも8000字程度は書けなくてはいけない。答案用紙で書くのは、自分が知っている知識の1割程度、まさに氷山の一角と心得ておいてほしい。そして、答案をまとめる際に大切なことは、知っていることをすべて浅く広く書くのではなく、一つのテーマに絞り込んで、深く書くことである。 一般に受験生は、自分が知っている知識をすべて書くことが良い答案の条件であると勘違いをしている。例えば「地球環境問題について800字以内で論ぜよ」とあったら、地球温暖化・オゾン層の破壊・酸性雨・熱帯雨林の消滅など、すべてを盛りこみ、いかにも自分がたくさん知っていることをアピールしたがる傾向がある。しかし、これは間違いである。800字ですべてを盛り込むなど土台無理な話である。いい答案とは 知識の量ではなく、分析の鋭さ を感じさせる答案といってよい。そのためには ひとつのテーマに絞り、深く書くこと である。800字のなかで、あれもこれも盛り込んでも決して感動を与える答案にはならない。ひとつの小さなテーマに絞り込み、深く書く。もし分析の鋭さが十分に示されていれば、たとえ答案に書かれていなくても、採点者は受験生が本当はどのくらいの知識量を持っているのかを感じ取ってくれるものである。知っていても書かない。その奥床しさがいい答案にしあげる秘訣といってよい。 また、「いろいろ」とか「さまざまな」とかいうごまかした表現もなるべく避けたい。基本的知識が不足している答案とみなされるからである。本当にわかっていたら、具体例をあげられるはずである。また、抽象語ばかりを書き並べた答案も避けたい。抽象語を具体的事例に置き換える力がないといい答案にはならないことも知っておいてほしい。 3、物事を因果関係で考える。 多くの場合、社会現象には因果関係がある。子どもの数が減れば、相対的に老人の数が増加し、その結果、年金や医療保険が破綻の危機に瀕するかもしれない。また、公定歩合を引き下げれば、金回りがよくなって、景気が回復し、さらに行きすぎるとバブルが発生するかもしれない。このように、社会現象はさまざまな事柄が影響しあっている。したがって、物事を考える際には、ある事象が、何が原因で生じているかを常に意識することである。大切なのはロジックであって、用語を暗記することではない。すなわち、原因をx、結果をyとすると、 y=f(x) で考える癖をつけることである。とくに理科系の論文では、データを見て、そこに因果関係を発見し、それをy=f(x)に結びつけることができれば、それで十分合格答案である。書き方そのものはそれほど重要ではない。 4、論文にまとめる技術や日本語表現力を養う。 まず第一に、言いたいことをはっきりさせることである。そのためには「結論を短い文に書いてみる」ことを勧める。その際、訴えたいことは一つにすべきである。おもしろい話でも、一つだけなら心にしみるが、いくつも聞かされれば印象に残らない。全体を読み終わって、結局何を言いたいのかよくわからない答案は絶対に書いてはならない。たとえば資料文が与えられた場合、最初に著者の見解をしっかり読み取り、その上で、著者に「賛成」か「反対か」自己の立場を明らかにする。賛成の場合は、著者と同じ理由では論文にならないから、著者とは違う理由をあげる。 第二に、論文の構成も大切である。とくに序論における問題提示と、結論の答えの部分の対応が一致していないと意味不明の答案になる。序論・本論・結論の各パートがそれぞれの役割をはたしていることが求められる。 第三に、わかりやすい日本語表現を心がける。論文における最良の日本語とは、一読して意味がわかり、しかも100人が読んでも一通りにしか解釈できない日本語である。あいまいな文学的表現は避けたい。 以下では,小論文対策として読んでおきたい本をあげておく。本を読む時間がない人や読む前にとりあえず基本を頭にいれておきたいという人は 「経済・経営・商学部関係」 (入門書) 書 名 著 者 出版社 『痛快 経済学』 中谷巌 集英社インターナショナル 『行革と規制緩和の経済学』 吉田和男 講談社現代新書 『経済学はむずかしくない』 都留重人 講談社現代新書
『経済学の考え方』 宇沢弘文 岩波新書 『ケインズ』 伊東光晴 岩波新書 『経済のしくみ 100話』 岸本重陳 岩波ジュニア新書 『豊かさのゆくえ』 佐和隆光 岩波ジュニア新書
『日本の国家予算』 吉田和男 講談社 『赤字財政の罠』 水谷研治 PHP新書 (中・上級用専門書) 『会社本位主義は崩れるか』 奥村 宏 岩波新書
『ゼミナール・日本経済入門』 日本経済新聞社編
日本経済新聞社 『ゼミナール・現代財政入門』 本間正明 日本経済新聞社
『ゼミナール・国際経済入門』 伊藤元重 日本経済新聞社
『共産党宣言』 K,マルクス F,エンゲルス 岩波文庫 『経済学批判』 K,マルクス 岩波文庫 『入門マクロ経済学』 中谷巌 日本評論
『現代経済学』 ヘンダーソン・クォント 勁草書房
「法学部関係」 (入門書) 書 名 著 者 出版社 『憲法入門』 伊藤 真 日本評論社 『法とは何か』 渡辺洋三 岩波新書 『憲法読本』 杉原泰雄 岩波ジュニア新書
『法律学ヘノ第一歩 v.1「法律学への旅立」』
渡辺洋三 岩波書店 『法律学ヘノ第一歩 v.2「憲法」』
杉原泰雄 岩波書店 『日本政治を読む』 間場寿一ほか 有斐閣
『脳死・クローン・遺伝子治療』 加藤尚武 PHP新書 『生命観を問いなおす』 森岡正博 ちくま新書 (中上級用専門書) 『自由と国家』 樋口陽一 岩波新書
『現代政治の思想と行動』 丸山眞男 未来社
『日本の思想』 丸山眞男 岩波新書 『日本国憲法概説』 佐藤功 学陽書房
『自由論』 J,S
ミル 岩波文庫 『憲法ゼミナール』 浦部法穂 実務教育出版
『国家と個人』 田中 浩 岩波書店 『自由主義の再検討』 藤原保信 岩波新書
『もういちど憲法を読む』 樋口陽一 岩波書店
「国際関係学部・外国語学部関係」 (入門書) 書 名 著 者 出版社 『言葉と文化』 鈴木孝夫 岩波新書 『菊と刀』 ,ベネディクト 世界思想社
『パパラギ』 岡崎輝男訳 立風書房 『国際感覚ってなんだろう』 渡部 淳 岩波ジュニア新書 『めざせ,世界のフィールドを』 小沼廣幸 岩波ジュニア新書 『国際協力の新しい風』 中田正一 岩波新書 『国際人の条件』 武者小路公秀 三嶺書房 『地球の未来はショッキング』 高榎 尭 岩波ジュニア新書
『国際政治』 大西仁ほか 東研出版 『現代国際政治入門』 舛添要一 PHP
『世界地図の読み方』 高野孟 PHP
『外国の教科書の中の日本と日本人』 石渡延男 一光社
『国際政治』 高坂正尭 中公新書
『国際関係の政治経済学』 川田侃 NHK市民大学叢書
『現代史』 須藤眞史 学陽書房
新版『軍縮の政治学』 坂本義和 岩波新書 『国際連合』 明石康 岩波新書 『現在を読む世界近代史』
W,ウッドラフ TBSブリタニカ (中上級用専門書) 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』 M,ヴェーバー
岩波書店 教育学部関係
『教育改革』 藤田英典 岩波新書 『教育入門』 堀尾輝久 岩波新書 『独創教育が日本を救う』 西沢潤一 PHP 『新・教育学のすすめ』 村井 実 小学館 『人の心はどこまでわかるか』 河合隼雄 講談社α新書 環境問題 『地球環境報告』 石弘之 岩波新書 『環境倫理学』 加藤尚武 丸善ライブラリー 『地球温暖化を考える』 宇沢弘文 岩波新書 医学部・看護学部関係 『医の現在』 高久史麿 岩波新書 『脳死・クローン・遺伝子治療』 加藤尚武 PHP新書 『生命観を問いなおす』 森岡正博 ちくま新書 『看護』 増田れい子 岩波新書 社会福祉学部関係 『寝たきり老人のいる国、いない国』 大熊由紀子 ぶどう社
『日本の高齢者福祉』 山井和則・斉藤弥生著 |