為替レートの話 2012年2月
為替レートとは、簡単に言えば「国力の反映」であると、以前為替の専門家から教わったことがある。経済力・軍事力・政治の安定度など、すべてを含んだ意味での国力が、結局為替レートを決定する というのである。 なるほど、戦後、1ドル=360円でスタートしたわが国の為替レートは、ほぼ40年間で1ドル=120円まで上昇した。これはひとえに、日本の国力の反映だというのである。 しかし、本当にそうか。バブルが崩壊した後、日本の経済力・国力が伸び悩んでいるにもかかわらず、その後円高は80円まで進んだ。 この間、日本の国力よりもアメリカの国力が明らかに優っていたはずだ。それでも円高・ドル安は進んだ。現実と理論が異なれば、た正しいのは現実だ。そもそもマーケットが20年間も間違い続けるはずがない。どうやら為替レートが国力を反映するという考え方は間違いだといってよい。 為替レートを説明できる理論はただ一つである。購買力平価説である。
これは、通貨の価値は購買力によって決定されるという通貨の本質を根拠にした考え方である。例えばハンバーガー1個が日本で100円、米国で1ドルなら、為替レートは1ドル=100円と考えられる。この考え方によれば、もし、日本でデフレが発生して物価が2割下落すれば、為替レートは1ドル=80円となる。
為替レートの変動を理解する上で、もうひとつ重要な話がある。今までは日本のファンダメンタルズが改善すれば円が買われて円高になると教えられてきた。したがって、日本の景気が回復すれば円高になるはずだった。しかし、これも現実と異なる。日本がずっと不景気であったにもかかわらず円高は進んだ。実は、景気が良くなれば円高になるという考え方も間違った考え方なのだ。 以上をまとめると次にようになる。
それにしても、輪転機でドルを刷りまくって、毎年多額の貿易赤字を続けるアメリカ
のドルが、なぜ依然として国際取引で使われるのであろうか。長年の疑問であったが、最近ようやくこの謎が解けた。その理由とは、いったん基軸通貨として広まった通貨にはある種の「慣性の法則」が働くからだという。 為替レートの動きは緩慢である。上下を繰り返しながら、ゆっくりと変動し、気がついてみると大ヤケドいう事がしばしばある。カエルを熱湯に入れるとすぐ飛び出して助かるが、ぬるま湯に入れて徐々に熱すると逃げるタイミングを失って死んでしまう、というたとえ話に似ている。為替レートの変動幅が1円というと大したことがないように思われるかもしれないが、トヨタ自動車が1円の円高で約 300億円の損失が出ると聞けば、やはりただ事ではない。 米ドル/円相場は、1ドル75円までいった後、81円台まで戻してきている(2012年2月末現在)。今後の円相場はどうなるのか。今年(2012年)に入って日銀が1%のインフレターゲットを掲げた。それに加えて世界経済が回復に向かうとするならば、これからは円安に向かう可能性が強い。今年か来年には、1ドル=115円を予想する人もいる。さあ、当たるかどうか。 |