発見する喜び

 

 


 通常の授業は、教師側から生徒への一方的な教え込みになりやすい。しかし、1年に1回は「本物の学問の仕方」を教えると言ってやるのが「戦後日本経済論」をテーマにした授業である。 この授業でのねらいは

   グラフを描く → 法則を発見する(→発表させる) → 説明をする

という手順で授業を進め、生徒に事実や法則を自分で発見する喜びを感じてもらうことである。

 

 

 


1.グラフを描く

 以下の表のデータをもとに,実質経済成長率の推移を折れ線グラフで描いてみよう。
 
(名目も描かせると生徒は混乱する場合がある。 その際は、実質経済成長率1本だけ描かせるとよい。なるべく太くて目立つ色で書かせるときれいに仕上がる。所要時間約25分)。
 

  国内総生産と名目・実質経済成長率 (1955〜2007年)

 
国内総生産(円) 名目経済成長率(%) 実質経済成長率(%)
1955   8兆3,380億
1956   9兆3,867億 12.6 7.5
1957  10兆8,174億 15.2 7.8
1958  11兆4,948億  6.3 6.2
1959  13兆1,406億 14.3 9.4
1960  15兆9,494億 21.4 13.1
1961  19兆2,636億 20.8 11.9
1962  21兆8,600億 13.5 8.6
1963  25兆  186億 14.4  8.8
1964  29兆4,300億  17.6 11.2
1965  32兆7,422億 11.3 5.7
1966  38兆  262億 16.1 10.2
1967  44兆5,619億 17.2 11.1
1968  52兆7,753億 18.4 11.9
1969    61兆9,944億  17.5 12.0
1970 73兆  685億 17.9 10.3
1971  80兆3,972億 10.0  4.4
1972   92兆  462億 14.5  8.4
1973 112兆 742億 21.8 8.0
1974 133兆7,379億 19.3  -1.2
1975 147兆7,682億 10.5 3.1
1976 165兆9,456億 12.3 4.0
1977 184兆9,225億 11.4 4.4
1978  203兆6,339億 10.1 5.3
1979  220兆7,118億 8.4 5.5
1980 239兆2,709億 8.4 2.8
1981 257兆2,084億 7.5 2.9
1982 269兆9,716億 5.0 2.8
1983 280兆8,101億 4.0 1.6
1984 298兆8,198億  6.4 3.1
1985 321兆2,609億 7.5 5.1
1986 336兆2,871億 4.7 3.0
1987 350兆 454億 4.1 3.8
1988 376兆5,775億  7.6 6.8
1989 405兆6,554億 7.7 5.3
1990 437兆 229億  7.7 5.2
1991 464兆9,343億 6.4 3.4
1992 477兆1,056億 2.6 1.0
1993 480兆8,210億 0.8 0.2
1994 486兆5,517億 1.2 1.1
1995 493兆5,881億 1.4 2.0
1996 504兆2,619億 2.2 2.7
1997 515兆2,491億 2.2 1.6
1998 504兆8,429億 -2.0 -2.0
1999 497兆6,286億 -1.4 -0.1
2000 502兆9,899億 1.1 2.9
2001 497兆7,197億  -1.0 0.2
2002 491兆3,122億 -1.3 0.3
2003 490兆2,940億 -0.2 1.4
2004 498兆3,284億 1.6 2.7
2005 501兆7,344億 0.7 1.9
2006 508兆9,251億 1.4 2.4
2007 515兆5,811億 1.3 2.1

 最近では大学生でもこうした基本的な学習をしなくなってきている。
グラフはExcelを使えば簡単に作成できるが、初学者には手作業で書くことをおすすめしたい。書きながら生徒はいろいろ考える.。また、1974年の実質経済成長率がマイナスになるのをよく間違える生徒がいるが、間違えることも大切な学習である。

 

 

 

2.グラフから法則を発見する。

  グラフは次のようになる。

 

 次に、このグラフから読みとれることを考えさせる。この授業の最大の山場である。グラフを描かせること自体が目的ではないことに留意したい。

 最初、生徒は何を「発見」したらいいのか途方に暮れているが、、机間巡視をしながら生徒の相談に乗り、励まし、何とかして答えを引き出すようにつとめる。 たっぷり時間をとりたい。グループを作って議論させ、その内容をみんなの前で発表させるのも一つの方法である。

グラフからたとえば。次のようなことを読みとることができる。

 @ 3〜4年周期の景気循環が観測される (とくに高度経済成長期)。
   この循環は発見した人の名前にちなんで、ジュグラーサイクルと呼ばれる。
   もし、このサイクルを発見した生徒がいたらそ、の生徒の名前をとって
   (たとえば”ミナミサイクル”)などと命名して、むちゃくちゃほめるとよい。

 A 1974年に、実質経済成長率がマイナスになっている。 → WHY?

 B 大きな傾向として、だんだん成長率が小さくなっている。
    
(1)グラフの1955年〜1973年(高度経済成長期)に10%のラインに
      線を引かせる。
    (2)1974年〜1990年(安定成長・バブル期)に4%のラインに
      線を引かせる。
    (3)1991年以降に1.3%のラインに線を引かせる。
   

 

 

 

 

 

3.戦後日本経済の説明をする。

 最後に、大きく次の5つの時期に区分して説明する。

  戦後復興期 ( 終戦  〜1954年)
  高度成長期 (1955年〜1973年)
  安定成長期 (1974年〜1984年)  
  バブル景気 (1985年〜1990年))
  グローバリゼーションの時代 (1991年〜現在まで)

この説明については、私の以下のノートを参考に各自工夫してください。

     note-sengonihonkeizairon

 

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