サブプライム・ショック
2007年8月25日
ニューヨーク株式市場が変調をきたしている。原因は、アメリカの住宅バブルがはじけたことがきっかけだ。アメリカの不動産価格はここ数年異常な高騰を続け、バブルではないかと言われてきたが、どうやらここにいたって本当にバブルがはじけたらしい。
世界の金融市場を揺るがした発端は、サブプライムローン(低所得者向け融資)の焦げ付きである。アメリカの住宅ローン残高は1兆3000億ドル(約156兆円、2006年末現在)あるが、そのうちの1割がサブプライムローンである。これが焦げ付けば、金融機関の痛手は計り知れない。
かつて日本は、バブルがはじけその後遺症に15年間苦しんだ。もしアメリカに同じ現象が起きれば、その影響は日本のバブル崩壊の比ではない。アメリカが不況になれば、日本からアメリカへの輸出が止まる。今アメリカへ一番輸出をしているのは中国だから、中国も大打撃を受ける。そうすると、中国へ輸出している日本にも影響が出る。親亀がこければ皆こける。世界経済はまさに連立方程式で動いているのだ。
ところで、アメリカの住宅バブルをここまで押し上げてしまった原因はどこにあるのか。実は、その原因の一端は日本にもあるといわれている。日本は1999年2月から2006年7月までゼロ金利政策をとってきた。バブル崩壊後の長期不況を克服するためである。

(写真は日本銀行新館 同行ホームページより)
ところが世界中の利にめざとい人がこの「おいしい金利」に眼をつけた。
金利ゼロ、すなわちタダでお金を貸してくれるのである。日本の銀行からお金を借り、その円をドルに交換してアメリカの国債を買うだけで5%以上もの利ざやを稼ぐことができる。これがいわゆる「円キャリートレード」(円を運んで用いる取引)である。
多くのヘッジファンドがこうした資金を利用していると言われる。もちろん、調達された円は、アメリカの国債市場だけではなく株式市場や住宅市場にも流れ込んでいる。そして住宅バブルを生む一因となった、というわけである。
円キャリートレードによって世界にばらまかれた資金量はIMFによれば約20兆円といわれる。しかし、実際には5000億ドルとも1兆ドル(約110兆円)とも言われる。
2007年8月、日銀は「政策金利」の引き上げを見送った。アメリカのバブルの責任の一端が日本にあることを知っていたから、本当は日本の金利を引き上げたくてうずうずしていたはずである。しかし、いまここで日本の金利を引き上げれば、日本からアメリカへの資金流入が止まる。そうなれば、アメリカのバブル崩壊は一気に進む。もうすでにニューヨーク株式市場や住宅市場でバブル崩壊の予兆がでている。ブッシュ大統領が日本政府に金利の引き上げを当分しないように背後で圧力をかけていると考えて間違いない。
「サブプライムショック」の影響は外国為替市場にも激震をもたらしている。今まで円キャリートレードで円が売られ円安になっていたが、円キャリートレードがおこなわれなくなると急速に円高が進行する。円高になれば日本の輸出企業が大打撃を受け、日本は一段と不景気になる。
今後、アメリカ経済はどうなるのか。誤解を恐れずに大胆に予想をすれば、バブルの崩壊(したがってニューヨーク株式市場の暴落)は今始まったばかりではないか。予想(よそう)なんて、反対に読めば「うそよ」だから余り信用されても困るが、多くの専門家の見方は甘すぎるように思う。
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