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叱る
人間の性格はいろいろである。骨太の人もおれば、繊細な人もいる。繊細な神経の持ち主のうちの何パーセントかは精神的に病むこともある。経験的にいえば、0.5%くらいだろうか。1学年320人とすると、約2人くらいである。精神的に病むまでいかなくても、「打たれ弱い」生徒の数はもっと多い。 注意されたり叱られたりすれば、人間誰しも落ち込む。しかし、最近の生徒はその程度がちょっとひどいように思う。 その原因はいろいろ考えられる。少子化が進み、蝶よ花よと大事に育てられて、家庭で叱られたことがないからかもしれない。また、親が信念を持っていないために、厳しく叱らないからかもしれない。あるいは、親子の接触時間が少ないために、父親が毅然とした態度をとりにくいせいかもしれない。親が子どもの機嫌をとってどうすると思うのだが、案外、最近はそうした親子関係が普通なのかもしれない。 その結果どうなるか。生徒のことを思って本気で叱る先生がいなくなってしまう。当たらずさわらず、はれ物にでもさわるように接しておけば、やっかいな事態にはならない。自分の身は自分で守るしかないのが今の教育現場の実態だ。かくして 打たれ弱い人間がますます増えてしまう。 戦後の教育論では、「叱る」ことより「ほめること」の大切さが説かれてきた。確かに、一生懸命やってそれがうまくいき、タイムリーにほめられるとやる気が出る。ほめられることによって人間は育つと言ってよい。 俳優の森光子が舞台作家の菊田一夫にほめられたのは、1971年の「10年間、無駄飯は食ってなかったな」という一言だけで、生涯でその1回だけだったという。 |