才能と努力

 2006年5月7日

 

 もう20年も前の話であるが、プロ棋士の水野弘士九段の囲碁教室に通っていたことがある。そこには、現在プロ棋士として活躍している吉田美香八段、小西和子八段、水野広美四段といった人たちが、当時はまだ小学生や中学生として修行していた。

 プロとしてやって行くには何が必要か。そこで学んだことはただ一つ、「人間、努力も大切だが、最後は才能がものをいう」ということであった。
 たとえば、当時小学生か中学生だった吉田美香ちゃん(失礼)に打ってもらったとき、「ワー、この子は強くなる。発想のしかたが全然違う」と、素人ながらにびんびん感じたものである。

 プロを目指す多くの人が門をたたき、そしてプロになれずに去っていく。プロになるのは東大にはいるより難しいとも言われ、本気でプロを目指す人は高校にも行かない。そうした厳しい世界にあって、美香さんはその後、あっという間にプロになり、数々のタイトルを取るようになった。

 かつて、大学を卒業するときに恩師の平舘道子先生から「人間にはできることとできないことがあります。さて、皆さんにできることは何でしょう」というメッセージをいただいた。
 55歳になった今、あらためて自分の人生を振り返ってみると、あのときの平舘先生の言葉に触発された「自分探し」をしてきたようにも思う。

 自分が何に向いているか。自分の能力の限界がどこにあるのか。それはとことんやってみて初めて分かることである。やる前から自分で「できない」と線引きすべきではない。
 
やってみたら意外と break through できるかも知れない。何事も努力無しではなしえない。しかし、努力によって何にでもなれるわけではないことも知っておくべきである。

 3年生の進路指導をしながら、いつも才能の見極めの難しさと格闘している。

                            

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