教科書を読もう

 2007年06月24日
 

 

教科書ができるまで
 教科書会社が1冊の教科書を作るのに約3年間かかる。文部科学省が新しい学習指導要領を発表し、それに基づいて編集会議が開催され、一次原稿、二次原稿、三次原稿と 加筆・修正がなされ、その後、ようやく『白表紙本』が完成する。ここまでで約2年である。そして完成した『白表紙本』を文部科学省に提出して検定を受け、意見がつけば 、さらに修正を加え、ようやく1冊の教科書が完成する。通常、教科書はいったん作られると、部分改訂を重ねながら基本的には10年間使われる。

 

教科書を読むことの効用
 教科書を読むことの第一の効用は、
入試に有利
だということである。運が良ければ、特定の教科書の分をモデルにリード文が作成され出題されることもある。たとえば、去年 、関学で出題された日本史の入試問題は山川の教科書とほぼ同じ文章であった。

 また、センター試験の問題作成では、よく売れている上位数社の教科書が参考にされるとも聞いた。 そのほか、センター試験は基本的には教科書レベルで作成されることになっており、このことは逆に言えば、教科書に載っていないものは正解でないことが多いとも言える。教科書から逸脱していても、それが正解でなければ「そんなこと知らなくても解ける」と作問者は言い逃れができる からである。

 実際に問題を解いていると、作問者が出題に困って作ったと思われる「どうでもいい些末な内容」がしばしば出ている。(特に追試問題に多いように思われる)。 もし教科書を読んでいれば、これは教科書を越えているから正解ではないに違いないとすぐに判断できる。

 第二の効用として、
教科書を読んで自分でまとめると国語力も身につく。
 
私の体験で言えば、世界史の教科書を一人で読んで初めて、あの複雑な構造を理解できたという記憶がある。
 しかし、先生の中には自分で「まとめプリント」を作成し、授業を進める先生もいる。確かにプリントでまとめて「これを覚えなさい」というタイプの授業は、一見効率的で親切そうに見える 。

 しかし、実はこれほど生徒の伸びる芽をつみ取っているやり方はない(と私は思う)。生徒がプリントばかりを暗記し教科書を読まなくなるからだ。プリント学習は生徒の読解力 や要約力を鍛える機会をも奪っているのだ。しかも教師も生徒もその弊害に気がついていないのだからなお罪が重い。効率的 に見える学習は実は一番非効率な学習である。

 前回、学習指導要領が改訂されたのが1999年である。それから8年が過ぎた。もうそろそろ新しい改訂時期を迎える。 また、朝から晩まで缶詰状態で編集会議が行われると思うと、ちょっとゾッとするが、自分が書いた文章で何百万人もの高校生が勉強してくれると思うと、やりがいもある。

 長年高校生を教えていて、一つの法則を発見した。すなわち、成績の悪い人ほど教科書をきちんと読んでいないという事実である。執筆者が一生懸命書いているのだから、高校生にも一生懸命読んでほしいと思う。
 

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