為替レートの話

2000年2月

 

 為替レートとは、簡単に言えば「国力の反映」である。経済力・軍事力・政治の安定度など、すべてを含んだ意味での国力が、結局為替レートを決定する。戦後、1ドル=360円でスタートしたわが国の為替レートは、ほぼ40年間で1ドル=120円まで上昇した。わが国の国力は、為替レートで言うと1年当たり約6円ずつ上昇したことになる。
 5円、10円と言うと大したことがないように思われるが、トヨタ自動車が1円の円高で約100億円の損失が出ると聞けば、やはりただ事ではない。

 一般に経済理論は、過去に起きた現象については理路整然と説明するが、これから起きることの予想はとんと当たらない。とりわけ為替についてはほとんど予測不能といってよい。予測に合理性があれば、人間はその裏をかこうとして、結果的には無残にも予測が外れてしまうからである。

 最近、外貨預金をする人が増えてきた。法的には1980年の改正外為法によって可能になっていたが、外貨預金が一般化したのはここ2〜3年のことといってよい。しかし、外貨預金は恐い。なぜなら、長期的なトレンドがつかみにくいからである。今、上昇傾向にあるのか、下降傾向にあるのか、それさえもなかなか分からない。まさに、確率二分の一にかける丁半ばくちの世界に近い。

 その上困ったことが一つある。それは動きが緩慢なことである。上下を繰り返しながら、ゆっくりと変動し、気がついてみると大火傷をしているという事がしばしば起こりがちである。カエルを熱湯に入れるとすぐ飛び出して助かるが、ぬるま湯に入れて徐々に熱すると逃げるタイミングを失って死んでしまう、というたとえ話に似ている。

 多額の国債残高を抱え、少子高齢化に向かう日本円がそんなに強いはずがない。
 しかし、輪転機でドルを刷りまくって、毎年2000億ドル(約20兆円)の貿易赤字を続けるアメリカが、不健康極まりないこともまた明白である。為替はやっぱり分からない。

 

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