学問の流行

2007年08月22日
 


 あまり知られていないが、学問の世界にも流行がある。流行と言うよりは「潮流」とでも言ったらいいのか。

 体験的に言えば、私が学生時代の1970年代までは、日本の経済学の主流はマルクス経済学であった。資本主義は労働者を搾取し貧富の差が広がる悪い社会である。社会主義運動は貧富の差がなく、平等で、失業もなく、社会保障が行き届いた理想的社会を目指すものである。大学でそう教わった。こういうふうに説明されれば、誰も社会主義に反対できない。だから、多くのインテリは社会主義を支持した。

 それが1980年代になるとすっかり様相が変わった。資本主義国にマネタリズムが台頭し、スミスの現代版とも言える「小さな政府論」が幅を利かすようになり、「ケインズは死んだ」とさえささやかれるようになった。社会主義の本家であるソ連崩壊後(1991年)、この傾向はますます強まり、いまや、人間は平等であるべきだなどという声はとんと聞かれなくなってしまった。

 「自由」と「平等」は本来両立しない。どちらを優先させるべきか。戦後、長らく平等を重視してきた日本社会が、今、自由(=不平等)を優先させる社会になりつつある。
 歴史は行き過ぎて弊害が深刻になるまでは変わらない。半世紀を生きてきて、社会の動きを10年・20年単位で振り返ると、歴史がゆったりと大きく動いているのがよく分かる。
 

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