談合はなぜ起きる

2007年05月27日
 

 

天下り先の確保
 新聞でしばしば談合事件が報道されるが、なぜ談合がなくならないのだろうか。実は、談合が起きる最大の理由は、高級官僚の天下り先の確保のためである。国家公務員T種試験に合格したエリート官僚は、就職後も役所の中で激しい出世競争を展開する。公務員であるから、給料がそんなに良いわけではない。ましてや役職ともなると、残業手当すら付かなくなる。

 それにもかかわらず彼らは猛烈に働く。1ヶ月の残業時間が300時間に及ぶこともある。本来の勤務をこなした上で、なお毎日10時間以上の残業が続く。殺人的な仕事量というほかない。命を削って(実際に落命する人もいる)彼らが一生懸命働く理由は、一つはお国のためであり、もう一つは、一生懸命やれば、最後には「天下り」というおいしい見返りがあるからである。

 もちろん、出世競争に勝ち抜き、高いポストになるほどおいしい天下り先が確保される。民間企業に就職して社長になる確率よりも、官僚になって、退職後民間企業に天下りした方が社長になれる確率が高いとも言われる。

 

「安月給」を取り戻す
 金銭面ではどうか。彼らは役所に勤めている間は、金銭的には全く報われない。そのうえ、仲間内で激しい出世競争が行われる。最後に勝ち残るのは「事務次官」ただ一人である。役所では事務次官として勝ち残った人が仕事をやりやすくするために、同期の人は役所から身を引く慣例となっている。そうすることにより、事務次官は自分より年上の人がいなくなり、思いっきり采配を振れるというわけである。
 一方、競争に敗れた人は(とはいっても社会的には超優秀な勝者であるが)、50代の前半までに大学教授や民間企業、公社・公団に天下っていく。そして、第二の人生でいままでの「安月給」「ただ働き」の分の給料を取り戻すのである

 もし、50代の前半という若さで退職したエリート官僚に天下り先がなければ、その後年金が出るまでの10年以上彼らはどうやって暮らしていくのか。実は、官僚が天下り先を死守する理由はここにある。

 もちろん、民間企業とて、必要のない人間を雇っておく余裕はない。天下り人事を受け入れるなら、それ相当の「おみやげ」が必要となる。その「おみやげ」が公共事業というわけである。たくさん官僚OBを受け入れてくれたらたくさんのおみやげをつける。戦後、官僚の間でいつの間にかそうした慣行ができあがり、たとえそれがいけないと分かっていても、自分のあとに続く「後輩」のことを考えると、自分一人が正義感を振りかざし、そうした慣行を破ることができなくなっていたのだ。


根本的に解決するには
 もし談合を本気でなくしたいならどうすべきか。
 一番の病巣は、官僚の出世競争のあり方である。すなわち、官僚が天下り先を必要としないように、官僚の競争のあり方と給与体系を根本的に考え直すことが必要である。高級官僚は日本の受験競争に勝ち抜いた超エリートである。東大でも一番優秀な連中が官僚を志向する傾向があると聞く。中国で言えばかつての科挙試験に合格したような超エリートである。それならそれらしく、破格の給料でもって待遇すべきではないか。その代わり、天下りは一切認めない。天下った場合は厳罰をもって処す。

 マスコミは表面的なことしか報道しない。病巣の根本にメスを入れないで、事件の上っ面ばかりを報道し、談合を個人の責任問題に帰着させている。もし、談合問題を本気で解決しようとするならば、官僚制度のあり方をどのようにすべきか積極的に論陣を張るべきではないか。

 この問題をこのまま放置すれば「官僚の、官僚による、官僚のための」公共事業が行われ、日本列島に必要のない道路や橋などがいつまでも作り続けられることになる。また、給与体系を変更しないで、天下り先だけをなくすれば、優秀な人が官僚を敬遠するようになることは必定であり、すでにその予兆が現れているようにも思われる。病巣の根本に、一刻も早くメスを入れることが望まれる。
 

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