お勘定!
だいぶ前、香港に旅行したときのことだった。一人でレストランに入って食事をしたあと、「お会計はいくらですか?」と店の人に聞こうとして、はたと困った。さて、英語で何というのだろう? 伝票を持ってレジに行き、支払えば済みそうなものだが、その伝票が見あたらない。仕方がないから「How much ?」とか「Bill, please」とか、ありったけの単語を並べて間に合わせたように思う。先日、広島で一人居酒屋に入った。すぐ近くに、年輩の外国人夫婦がビールを飲みながら刺身料理を楽しんでいた。しばらくしてその奥様とおぼしき人が若い店員さんを呼び止め、「Check!」と言った。「そうか、お勘定のことは、Check と言えばいいのか」。その時初めて、香港の時の謎が解けた。 ところが、、店員さんは「Check」の意味が分からずおろおろしている。横から一言声をかけてあげようかなと思ったが、声をかけるには離れすぎている。外国人のお客さんは、ゆっくり何度も「Check」と言うが、やっぱり通じない。そのうち、店員さんはこともあろうにお客さんをほったらかしにしてその場から離れてしまった。こんな時は日本語でもいいから、「今、係りの者が参りますから、しばらくお待ち下さい」とか何とか言えばよいのに・・・・・。 しばらくして、英語の分かる人がやってきた。やれやれである。しかし、 そのときに思った。ここは日本である。日本人が日本語を話して何が悪い。日本語で堂々と言うべきである。よしんばそこが外国であろうと、外国語でうまく表現できないときは、日本語でいいから大きな声で主張した方がいい。そうしないと、何を考えているのか相手に伝わらない。コミュニケーションで大切なことは、こちらの気持ちを伝えることである。善意の気持ちさえ伝われば、言葉の違いなんてたいした問題ではない。日本の英語教育・国語教育は、そうしたコミュニケーションの本質をもっと教えるべきではないだろうか。
|