PISA (国際学力到達度調査) 2007年12月19日 日本の高校生の学力が低下しているという。根拠となっているのは、OECDが昨年行ったPISA(国際学習到達度調査)の結果である。これは世界の57カ国・地域の15歳生徒約15万人を対象とする調査で、日本からは全国から抽出された6000人が参加している。調査は2000年から3年ごとに行われ、今回が第3回目にあたる。 それによると、過去3回の日本の国際順位は、 科学的リテラシーが、2位→2位→6位、 数学的リテラシーが、1位→6位→10位、 読解力は 8位→14位→15位、 と軒並み低下しているという。これを伝える新聞の見出しもショッキングなものである。 「日本、全分野で順位後退」「ゆとり、転換必至」(産経新聞) 「科学への関心、日本最低」「数学・科学、応用力低下」(朝日新聞) ところで、本当に日本の学力が下がっているのだろうか? 参加国が増えたために(2003年の参加国は41ヶ国に対して、今回は57カ国)、 見かけ上順位が下がっただけではないのか。 実施時期が6月〜7月の暑い時期で、しかも期末考査後に調査をしたために、真剣に取り組まなかったのではないか。 平均の順位が下がったとしても、上位層に変化はなかったのではないか、 などなど、いろいろ考えられる。 しかし、ここではそうした問題は一応おいておいて、日本の高校生の学力が低下していると仮定して、その原因について考えてみる。新聞が列挙しているものを掲げると、次のようになる。 @土曜日を休みにして、教える中身を3割削減した「ゆとり教育」の結果だ。 (産経新聞12月5日) A授業のあり方に問題がある。もっと、日常生活の身近な疑問と結びつけたり、一つの課題について考えたり話し合い、生徒が主体となった授業を展開したり、自分の言葉で説明する機会を多く設けるなどの工夫が必要 だ。(産経新聞・朝日新聞2007年12月5日) B理系技術者の報酬が欧米に比べて安すぎるため、理科離れが加速している。たとえば、欧米の研究職の報酬は事務職の1.12倍であるのに対して、日本は1.18倍にしか過ぎない。 (日本経済新聞、2007年12月7日) その他にも原因はないだろうか? 私がつらつら考えるに、第一に、日本のテストのあり方にも問題がある。日本のテストの多くは、(センター試験を筆頭に)ほとんどが記号で答えさせる問題ばかりである。記述式はほとんどない。 それにたいしてPISAのテストは(私もやってみたが)解答欄の半分程度が20字から50字程度の記述式である。決して難しい内容の問題ではないが、こうした記述式の訓練をしていない日本の高校生にとっては難しく感じるのではないだろうか。 第二に、ノートの取り方にも問題がある。教室で高校生を見ていると、板書されたことをノートに「きれいに」写すことが勉強だと錯覚している生徒がかなりいる。そのうえ、先生がノートを提出させ、その出来具合を成績に加味するとなれば、きれいなノート作り競争はますます助長される。経験的に言えば、きれいにノートを取る生徒ほど成績は良くない。ノートは、「板書されたことを写す」のではなく、「先生の話のポイントをまとめ」「自分で考えたことをメモする」ようにとるべきである。こうした能動的な態度で授業を聴いてはじめて、考える力が身につく。 第三に、日本が豊かになって、学習意欲が乏しくなっていることも学力低下の大きな要因になっている。高校生から大志がなくなる一方、漫画・ケータイ・テレビなど、高校生の学習意欲をそぐ誘惑は日増しに増えている。 平日の学校外での学習時間の平均が、中国147分、日本50分と聞けば、私ならずともこのままで日本は大丈夫だろうかと心配になるであろう。 ただし、全科目にわたってイギリスやドイツより日本の成績のほうがいいのだから、それほど大騒ぎする必要がないのかもしれない。
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