東海地域の測地データ(国土地理院による)に地殻応力の臨界状態を示す徴候が現れている可能性を指摘してから 約1年半経過した。この間,3ヶ月ごとに年4回行われる水準測量データは新たに6個増えた。図1に示すように, 2000年1月〜2001年4月の計6点のデータは,ほぼ,1999年10月までのデータを使って最小二乗法で求めた 臨界現象のモデル曲線に沿って推移している。モデルで予測された1999年中頃から2000年終わりにかけての周期変動が 実際の観測データでよく再現されている。
図1 国土地理院による掛川に対する浜岡の標高データのここ約6年間の推移。 赤はオリジナルデータで青は前後計5点の移動平均をとって平滑化したデータ。 黒い実線は1999年10月までのデータ(平滑化した,青い丸印)から求めた臨界現象のモデル曲線で, 臨界点の時刻(2004.7年)まで外挿してある。 2000年1月〜2001年4月のデータ(赤いダイアモンド印)を使って新たに加わった計6点の 平滑化データ(青いダイアモンド印)は,ほぼモデル曲線に沿って推移している。 (縦軸の絶対値は,データの再規格化を行なったため1年半前の解析結果の図の値とやや異なっている。)
1999年10月までのデータを用いて得られた臨界点の時刻tcは,2004.7±1.7年であった。
2000年1月〜2001年4月の計6点のデータを加えて臨界点の時刻を再計算すると,その値は2004.2±0.8年となる。
両者の値は誤差の範囲で一致しているといえる。また,新たに加えたデータがほぼ予測通りの変動を示した結果,
臨界点の時刻の推定精度が向上し,誤差が1.7年から0.8年と半分以下に小さくなった。
図2は,1997年1月まで遡って, データが1点増える毎に臨界点(critical point)の推定値とその誤差がどう変化するかを2001年4月まで 追った結果である。臨界点の値はほぼ,2004〜2006年の間で変動しており,その変動幅は誤差の範囲内に おさまっている。また,臨界点の推定誤差は時間とともに小さくなってきていることがわかる。 これらの結果は,臨界現象モデルの妥当性をサポートしていると考えられる。
図2 臨界点の推定値とその誤差の変動。横軸は,臨界現象モデルのパラメータを最小二乗法で決めるときに使った データの最終時刻。最も新しいデータ(2001年4月)まで全て使った臨界点の予測値は2004.2±0.8年である。