
Falantaj muroj (Trevor Steele)

あらすじ
*「崩壊する壁」と題して、17章に分け、1992年前後(ゴルバチョフによるペレストロイカと、彼の失脚の頃に相当)のソ連邦からロシアへの時代のキエフでの体験、リトビアでの生活、ポーランドで、そしてライプチッヒでの生活、その間のポーランド経由でのウィーンへの旅行が語られる。それらがこの本全体の8割、前半の約120ページをしめる。
*3ヶ月分の月給で買った自転車、それもやっと見つけた自転車が、乗ってから小一時間もしないうちに壊れてしまう話。どこでも大行列をしないと物が手に入らない話(こんな楽しい買い物に比べたら、西欧での買い物は退屈きわまりない!と)。通関の役人の横柄さ、怠慢さ。
*この夏(2002年)、北米の夏期学校で、ロシア人教師のメルニコフさんからさんざん聞かされた信じられないような話を、 Steele さんから改めて沢山聞くことになった。
*その後ろに、5〜10ページの短編が四つ、すなわち、
・1967年のモーリシャス (大通りを一歩はずれると、すざましい貧困のさなかにある現地の人たちを目撃することになる)
・1971年のスペイン (著者は、バルコニーに現れて群集にこたえるフランコ将軍を見る)
・1977年のブラジル (エスペラントが共通の言語である、共同生活村、Bona Espero の当時のまだ過酷な様子がえがかれる。著者は不思議な心霊治療で腰痛をなおしてもらう)
・1993年のオーストラリア内陸部 (ライプチッヒでもらった100年前のオーストラリアの旅行記に刺激されて、ブリスペーンからダーウィンに向けて一人旅にでる。途中で、一人住まいをしている奇妙な男に出会うお話)。
いずれのお話も語り口が面白いので楽しく読める。
*東ドイツがお荷物になっていること、失業者の増加、ネオナチの台頭。さらに、鳥かごの生活(不自由だが食べてゆけなくなる心配はなかった)から、ジャングルの生活(市場主義経済。自分の食事は自分で手に入れなければならない)に変わってしまった、と旧体制にノスタルジーを抱く人も。いろいろ考えさせられる挿話がたっぷり。
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