ライン

読書記録 (7)
Kiun libron mi legis lastatempe? 

La bato  (Lena Karpunina)


(21.6 x 14.0 x 0.7 cm: pp 125: 2000 年刊行)

読書メモ
* 著者の生まれはロシアだが、タジキスタンのドゥシャンベ(首都)で育ち、タジキスタンの大学を卒業している。ドゥシャンベやパミール高原地帯の風物の描写が見事で、私にとっては大変新鮮だったし、訪れる機会があったら一度行ってみたいものだと思った。人手が入っていない、美しい自然を身近に持てた著者がうらやましい。

*各家庭にまで水道がひかれていないので洗物やら炊事には広場の共同の水道 (akvokrano) を使う情景が何度か出てくる。ひと昔前の日本を思い出した。かっては、日本でも、親や先生は子供をよく殴った(「La Bato」)ものだった。

*15の短編小説からなるが、その多くに父親あるいは母親による自分の子供に対する暴力シーン (La Bato は、「殴る」とも「(心の)打撃」とも訳せる) が書かれる。著者の体験にもとづくものもずいぶんあると察せられるが、いずれの bato も、どこまでが体験で、どこからがフィクションなのか、と考えさせられるのも面白い。ちなみに、この冊子は加害者でもあった著者の父に捧げられている。

*女性らしい、とても優しい目で登場する人物たちを見ており、読み終わったあともほのぼのとした素直な気持ちにさせられる。まさに、「読むクスリ」だ。

*エスペラントの入門講座のビラを貼り、講師を務めるお話もあり (Anakondo) 、かの地の、90年代のエスペラント運動の様子を少し知ることができ、少しばかりうれしくなった。

*エスペラントの文体は正統で、私にはとても読みやすかった。

* tralegis: 9.24. 2002



あらすじ
 目次の順に、いくつかのお話のあらすじを。

 表紙の絵になったお話。娘に昼の間に読んでおくようにと渡した本を開いて、確かに約束を果たしたかどうかテストする父親。しかし、娘は、その日はつい遊びほうけて、「読んだ」と嘘をつく。…la bato

 遊びから帰る途中でバイクにひかれ大怪我をしたのに、その小さな女の子は、傷口を洗い夕食もとらず「疲れていて眠い」とベッドもぐりこんで、事故にあったことを母親からかくそうとする。なぜ?... 母一人、娘一人の貧しい生活。母に捧げる賛歌。…la patrino kaj la filino

 小学校の、とても怖かった Galina 先生の思い出。…la instruistino 

 運転免許を取ってすぐに、バイクに父をのせおそるおそる市街地を走る。...そして父と二人で Iskanderkul(アレキサンダー大帝にちなんで名づけられた町)への山越えの一泊の旅へ。…la motorciklo 

 四月。ベルリンの灰色の空から雨が降る。想いは故郷の復活祭の雨の情景へ。...「それ以来、私は雨が好きになった。まもなく私は40歳になる。そうしたら汽車でロシアへ行くだろう。あの田舎の町へ...」…paska pluvo 

 ドゥシャンベからサマルカンドまで、各地から集まったたエスペランチストたちが行った10日間の旅行記。高地は雪、時には吹雪、下へ降りてくると春。人里はなれた村の住民や子供達による歓迎。点在する湖の色の移り変わり。…en la montaro 

 短編集の最後を飾るのは心に受けた「打撃」。あらすじは、ここには書かない。とてもすてき。…la adiauo 

 

1冊前に戻る   本の「リスト」、へ
メール アイコン
メール
トップ アイコン
トップ

ライン