ライン

最近読んだ「エスペラント図書」のリスト


読書記録 (52)
Kiun libron mi legis lastatempe? 

Trans maro kaj morto  (Sten Johansson)


(21.0 x 14.6 x 0.5 cm: pp 80: 1999 年刊行)

Unuvorte
*スヴェドベリ警部とヤンケウス刑事のコンビの第2作目


読書メモ
*イランからの避難民を自分が受け持つ教会に受け入れる女性の牧師、異教徒の受け入れに反対の地区の牧師、避難民の弱みに付けこむスウェーデンの若者、といった構図の中で展開する犯罪小説。いつものように二人の聞きこみ捜査で、殺人事件の全貌がだんだん明らかになってゆく。

*コンビの二人の週末は以下のようである(67頁)。「スベドヴェルグが休養と妻と二人で家事をしてすごすのに対して、ヤンケウスは、子どもたちの世話をしなければならない。彼の妻は早くも土曜日の朝からコーラスの講習に出かけており、彼は自分で食事を作り、子どもたちを遊ばせ、楽しませ、時には、なぐさめてやらねばならない。夕方になって、やっと彼は暇になる。12才のマルタは、馬の本に夢中、9才のエリスは、コンピュータ・ゲームに熱中、7才のエンマはテレビを見ている」 第3作では、スベドヴェルグさんは、奥さんと離婚して一人暮らししている。

*彼らの仕事は、犯罪を捜査し、犯人を逮捕し、調書を作って検事に渡して終わりとなる。裁判で、その事件がどのように処理されようと、その時点ではもう次の犯罪に立ち向かっており、そんな仕事が次々に控えており、裁判の結果に対して特別な感興を抱く暇もないといったこともうまく書かれていて、私には面白かった。

*イランからの移民が被害者で、仲間の人たちに事情を聞くためにペルシャ語の通訳が必要となる。犯人とイラン人のやりとりは英語。ヨーロッパ共同体内で行き来が盛んになるに連れて、ますます、言語問題が重要課題として浮上してくるであろう事が推測できる。

*時おり描かれる、スウェーデンの風物が心をなぐませてくれる。例えば、スウェーデンの秋。「太陽が、色とりどりの落葉樹林に照りつけいる。その下を彼らは車を東から西へと走らせた。あらゆる色があった。ナナカマドの赤、ハコヤナギのオレンジ、カバノキや楡の黄、樫の木の茶、あちこちにまだ残っているトネリコとナンノキの緑...」

*彼ら二人の管轄であるカルマル市と、その対岸にある橋でつながったイェーランド島がだんだん親しいものになってゆくのも妙だ。シリーズものの楽しさ。「寅さん」の柴又葛飾が、自分の近所にでもありそうに思えるように。

*ステンさんは、Glosaro で、いくつかの新語(ネオロギスモ)について、「さけたかったのだが、この新語を使うのは、一人の医師だけで、著者はどうすることも出来なかった。殺されるようにしようとさえ思ったが、いつものように医者の来るのはいつも遅い(tarde = malfrue) ので...」と書く。こんなところにまでユーモアのサービス!

* tralegis: 2003.5. 15.


目次と最初の2,3章のあらすじ
*Doktoro venas malfrue(医者の来るのが遅い)…保険がない、現金も払えないということで、急病のイランからの避難民の女の子が病院で診察を拒否される。世話をしていた牧師、レナは、やむなく知人の医師を呼ぶが、医師が教会にやってきた時にはもう女の子は亡くなっていた。

*救急車が来るのを待つ間、医師は教会の近くを散歩する、十年か二十年前には、お金がないからとか、官僚的なきまりを理由に死にそうな子どもの診療を拒否するなんて事はなかった、と思いながら。そのとき、近くのやぶの中で「そんな大金は払えない」などと、なまりのある英語で話して言い争っているのを聞く。

*Paganoj kaj demonoj(異教徒と悪魔)…「何かニュースは?」「イェーランド島で牧師が自殺したらしい。でも、誰かが手伝った形跡がある」とヤンケウス。その後、自殺は偽装であることが分かり、また、近くの海で、漁師が刺殺されたイラン人の死体を引き上げる。避難民が持っている乏しいお金をねらった、なんともやりきれない犯罪?!!!...

*Terura domo!(恐ろしい家!)...
*La plej naturaj aferoj(一番自然なこと)...
*Jankeus malviŝas(ヤンケウスが<削除されたファイルを>復元さす...
*Vojo de sukceso(成功への道)...
*Kazo solvit?(事件は解決した?)...
*Makabra ekskurso(身の毛のよだつ遠出)...
*Atesto de poeto(詩人の証言)...
*Problemo kun la polico(警察との厄介ごと)...
*Senkulpa(無罪)...
*Honoro de mortintoj(死者たちの名誉)...


 

1冊前に戻る   「エスペラント図書」のリスト、へ
メール アイコン
メール
トップ アイコン
トップ

ライン