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最近読んだ「エスペラント図書」のリスト


読書記録 (46)
Kiun libron mi legis lastatempe? 

Denaska kongresano kaj aliaj noveloj  (Sten Johansson)


(20.9 x 14.6 x 0.3 cm: pp 46: 1992 年刊行)

Unuvorte
*ステンさんの初期作品集。


読書メモ
*ステンさんのことを良く知りたい人は、まずこの本から。裏表紙にヒゲづらの顔写真があり、簡単な略歴がついている。ステンさんのホーム・ページにある略歴紹介とほとんど同じ文章である。彼の略歴は、「レヴーオ・オリエンタ」の Sten Johansson の項で紹介したが、スペースの都合で十分書けなかったので少し追加する。

*裏表紙の経歴には、両親がエスペランティストであったとあるが、いくつかの作品を読むと、両親にエスペラントを教え込まれたのでははなくて、逆に、放っておかれたことが分かる。ティーン・エージャーの頃に初めて世界大会の子供大会に連れられていき、その後自習、青年大会などで活躍、といったところか。もう一つ。現在は、息子、ヴィクトールとノルシェピングに住んでいるとあり、奥様のことが何も書かれていない。離婚したのか、日本人と同じように奥様のことはあまり書いたり、言及したりしないことにしているのか。

*46頁しかない本なのに、9作品が入っている。うち、3作品が UEA の文芸コンクールで賞を取ったものである。まえがきで、スティグさんが「量より質だ(Kvalito pli gravas ol kvanto)」と言っている!

*ステンさんの "Mondoj" にある自己紹介によると、趣味はスキー旅行。その一端がうかがえるのが、「白銀に残るシュプール(spuro en blanko:日本語の題名は、私が仮に訳したもの)」。この中で、tatamo という単語に出会った。谷くだりをする前に、プラスティックのマット(plasta tatamo) を雪の上に敷いて、ゆっくり座ってコヒーを楽しむシーンで。大きさが畳一畳分くらいだからか、そして、彼は日本のことを良く知っているのだろう。

*「じっと待っている男(La viro kiu restos)」は、淡々とした文章が繰り返し続いて、ピロンさんの文体を思わすが、全体に詩があり、読み終わってジーンとくるものがある。図らずも、私は涙がこぼれた。別の作品集の "Ĝis revido krokodilido!" の中で、まじめな作品と、ユーモラスな作品とを UEA へ送ると、いつもまじめな作品がはねられるとあり、本作をはねられる作品の例としてあげている。私は、とても素敵な作品だと思うのだが...

* tralegis: 2003.5. 4.


9作品のタイトルとあらすじ
*「チョコ・ビスケット」(la ĉokolada biskvito):1988年に1位を取ったもの…うっかり屋(ventkaplino:「風の頭」、すなわち、頭が空っぽ?)の彼女が、秘書としての大事な採用面接の前に、カフェテリアで軽食を取ったばっかりに...

*「クロッキー」(krokizo)…「彼は、はじめ、裸でいる彼女を見た。もっと正確には、彼は、まず彼女の裸の体を見た...」という文章で始まる、素描教室に通う男と、そこへ来ていたモデルとのお話。

*「人質」(la garantiulo):1987年に2位になったもの… カルツームで白人以外、あるいはヨーロッパ以外のパスポートを持っている人たちが降ろされて、商社マンの自分を含め5人が残される。二人のオランダ人宣教師、発展途上国で指導にあたっていたフィンランド人女性、そして素性のわからない男。飛行機がテロリストたちに乗っ取られたのだ。何とか自分だけは生き残ろうといろいろ考えをめぐらすのだが...

*「生来の大会っ子」(denaska kongresano)…「大会での出産」というのをご存知だろうか。1923年のニュールンベルグ大会は、参加者が4,963人とあるが、正しくは1,964人で、そのうちの一人である私は、会費を払わずにこっそりと会場へ連れてこられたのだった。…ita-ata 問答がでてきたりして、シャレやジョークで彼の周囲に登場するエスペランティストたちをからかう。ステンさん自身の経験や、見聞も書き込まれているはず。

*「ラップ人のニルス」(Nils Lapono)…"Nu jes, bone, mia kara...(じゃあ、話してあげようか)"と、奥様か恋人に話すように、おばあさんから聞いた「巨人、ニルス」の話をはじめる。実は、この部分が一番最後にあり、冒頭は、グスターブ国王にあてたニルス・イサクソンの、侵略者達がラップ人に対して行っている残虐行為を告訴する手紙である。心に残る一編。

*「粥を調理した者が...」(kiu kaĉon kuiris...)…国を出たい、スウェーデンに住みたいと考えているミラは、青年大会で友人から、フレデリックを紹介され、偽装結婚を試みる...題名となっていることわざは、「...食べなければならない(tiu ĝin manĝu!)」と結ぶ。

*「白銀に残るシュプール」(spuro en blanko)…5月。友人とテントを背負ってスキー旅行に出る。一斉に春がやってくる時期で、日に日に雪が湿っぽくなりスキーが難しくなる。もうこれ以上滑れないというときに、遠くからブーンという音が聞こえてくる。自然派の彼らがカタキのように思っているものの音なのだが...

*「じっと待っている男」(la viro kiu restos)…「森を、ハイウエーが通りぬけており、その近くに男が立っている。男は歳をとっていて、背中が少し曲がっている。車道でなく、道路わきに立って男は待っている。彼は、バスを待っている。車道はほどほどの広さで、アスファルトで舗装されている。男は、...」

*「トナカイとの出会い」(renkontiĝo kun boaco):1988年に奨励賞をもらったもの…フィンランドのノルドカーボへ、ある夏、北に輝く真夜中の太陽を見に行った時のこと。帰り道で、車の前に飛び出してきたトナカイをひいてしまう...



 

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