*ピロンさんとは少し違った書き方の易しい読み物。ステンさん流のユーモアが随所に感じられる。例えば、表紙の挿絵にあるように赤毛の女性、ガブリエラに二人の若者が思いを寄せるのを、ruġhara problemo (赤毛問題)と片付けたり、ラテン語の veni, vidi, vici(来た、見た、勝った)をエスペラント流に、「来た、見た、並んだ」と受付で並ばされる時に使ったり。
*「易しい読み物」と銘うつと、どうしても使用単語制限(特に最初の2,3章)による不自然さを、お話の面白さでどこまでカバーできるかが問題となる。途中で読むのをやめなかったので、まあまあその点では成功したのではないか。
*ステンさんらしい、と思うのは "Neniu feliĉo daŭras tre longe!(どんな幸せも長続きはしない)" とか、"La vivo ne ĉiam estas facila(人生はいつも簡単だとは限らない)" とか、"Pli bone io ol nenio(何にもなしよりは、ちょっとでもあればそれにこしたことはない)" とかの気のきいたセリフが随所にでてくること。覚えておいてどこかで使ってみたいと思う。
*エスペラントの世界大会などでおなじみの amasloĝejo(集合、あるいは団体、簡易宿泊所)の様子が良く分かって、参考になった。
*さらに、ガブリエラが朝食で飲む kefiro(「新選エス和」で、ケフィル:新PIV によると、コーカサス地方の牛乳を凝固させた、泡立てた飲み物)や、若者達が森を散歩しながら見つけて口に入れる mirtelo(「新選エス和」で、ミルティルルス)という木の実のことも知ることができてた。世界は広い!
*巻末に、これまでに発表されたいくつかの単語の難易による分類法を参考に、ステンさんの単語の7分類法が解説してあり、どの単語をどの章ではじめて使ったかが分かるようになっている。そして、A からD までの5分類(Ĉ を含む)の 1,540 の単語が7頁にわたって載っている。この表は単語習得のチェックリストとしても貴重ではないか。
*この本のタイトルはロック・グループの「ペルソーネ」の歌、Kion ajn に由来することが作中で明かされる。歌詞に「彼女のためならなんでもする」というフレーズがある。その他にも、2曲の歌がお話の中で紹介される。
* tralegis: 2003.2. 7.
あらすじ
*ロシアの若者ヴィクトールがギターを抱えて、スエーデンで行われるエスペラント文化祭(KEF)へ、ビザなしでやってくる。彼のイタリアの友人カミーロも、仲間と一緒に自動車でやってくる。
*二人は別々に、赤毛のスエーデン女性ガブリエラと会い、もっと親密になりたいと思う...