**追記:この表紙の写真は著者の意思に反して出版社が勝手につけたものである、とのステンさんの投書を La Ondo de Esperanto (2003: n-ro ",p.11)で、たまたま目にした。(2003.2.8)
*とても達者な、流れるようなエスペラントにほとほと感心した。エスペラント初学者の頃、'Kredu min, sinjorino!' を読んだ時と同じような驚き。そして、多弁。C. Piron さんの 'Lasu min parolu plu!' のように。
*そのためにか、最後に glosaro (用語解説)がつけてあって、必要にせまられて使ったおおよそ100語ほどの単語に簡単な意味がつけてある。そのうちからいくつか... dekumulo (ティーンエージャー) ozona truo, mafio (マフィア) ricikli (リサイクルする) skarabo (フォルクスワーゲン車) zipo (ジッパー PIVにあり) zoo-parko など。
*表紙からも想像できるが、楽しんで読み終えることができる。しかし、表紙から想像されるよりはもっと上品! エスペラントの言葉遊びがふんだんにあり、読みながら時々にっこりさせられる。
*まず、タイトルの Dis! (ばらばらになろう)が Ĝis! (さようなら)の言い換えである。ザメンホフの詩、'Vojo (道)' の中のフレーズの言い換えがあったり、と(45頁)。
*主人公 Peter をはじめ登場する女性たちの心理描写に無理がなく、どこででも出会いそうな人たちに思える。著者の人間に対する観察眼がすぐれていることが良く分かる。
*序文で、著者はフィクションを提供するが、それをどう味わうかは読者にかかっている。良いフィクションでは読者も貢献しなければ...と書いている。それだけの素材は十分に提供されている。
* tralegis: 9.16. 2002
あらすじ
最終章の Dis! を含め13章からなる一連のお話。各章をつなぐ、イタリックで書かれた短い断章は、バスで遠くに住む古い女友達を訪ねる旅であることが、後のほうで分かる仕組みになっている。
まず、主人公 Peter の出生にまつわる奇想天外なお話(aprila inundo)から始まる。Karina さんとの離婚話(en fojnamasto)。自殺志願の女性の話(pri ŝnuro ne parolu!)。夢を話して皆でそれを演ずるグループ心理療法の話(kanto de baleno)。「亭主の好きな...」(ruĝaj tagoj) からポルノ風のものも (al viro farendas, kio farendas al viro)。そして、内容は違うが少なくとも章のタイトルは表紙の写真のようなものも (du inoj enlite)。さらに、主人公が一作者としてかかわるエスペラント界に対する皮肉たっぷりな文章 (librojn legu la verkisto)など。そして、最終章(第13章!)が Dis!。