
読書記録 (21)
Kiun libron mi legis lastatempe?
Vojaĝo en Esperanto-lando [nova eldono] (Boris Kolker)

(21.0 x 14.8 x 1.4 cm: pp 279: 2002 年刊行)
Unuvorte
*"Kaj kio poste?(入門講座を終えたら次は何をするの)" の答えがここにあり。
読書メモ
*とても読みでのある Kolker さんの旧版を改めた本です。本編はアート紙に2色刷りで、ずっしりと手に重い、立派な装丁です。
*この本の表紙(上の写真)は、2001年のザグレブ(クロアチア)での世界大会(第86回)の時に写されたものであることが、私にはすぐ分かりました。半日の市内観光のバスが会場前に到着したところと思われます。夏で、少し暑かったので、ここで、コンクリートの上に座って、涼風にあたりながらサンドイッチを食べたことを思い出しました。
*関西エスペラント連盟の機関誌「ラ・モヴァード」(2003年2月号を予定)にこの本の紹介を書くように依頼されたので、以下にその原稿を載せ、読書ノートとした。
昨年の夏、北米のエスペラント夏期学校で、ロシアのメルニコフ先生が授業に使った教材は、ほとんどがこの本の旧版からのコピーであった。いずれの教材も、先生の使い方によることもあるが結構面白かったので、日本に戻って真っ先に、ちょっと読んだだけで本棚に放ってあった旧版を、外見は粗末でも何という内容の豊富な本なのだろうと随所で感心しながら読み通した。その頃、エスペラント誌の広告で、ここで紹介する新版が二色刷りで発売中とあったので、早速、入手した。
本の構成は旧版と同じで、全体が26章からなり、各章は10頁前後で、1月から始まって12月末まで、2週間おきに開かれる例会の記録という形をとっている。その例会では、訪れる客人たち、ピロンさんやらオールドさんやらのお話や詩の朗読があり、遠足や一人芝居があったりする。そうやって紹介される作品は108編で、旧版から除かれたものが20編、新版で加わったものが18編である。旧版は1992年の発行であり、インターネットや携帯電話などの記事が時代の変化に即した内容に書き換えられ、新版がUEAからの出版になったことでロシアの記事がかなり減らされた。アート紙になったので写真や図版が鮮明になり、UEAから資料がたっぷり提供されて、執筆者の顔や採用作品の単行本の表紙写真などが加わりビジュアルになった。2色刷りでレイアウトもすっきりしとても読みやすい。少し大判になったが、本文の活字は小さいままで高齢者には残念な点である。メルニコフ先生が使った教材はすべて新版に再録されていた。
前書きでコルカーさんは、この本で勉強して「エスペラントを母国語と同じレベルで使えるように」という銘を掲げている。そのために、各章にはその章で取り上げた作品に関連した、よく工夫された練習問題があり、講習会や独習でこれらにたっぷり時間をかければ、上に掲げた目標が達成されるのは間違いないだろう。
この本には、「エスペラント文化の案内書」という副題がついている。選ばれた作品には、ピロンさんやオールドさんのものの他に、当然のことだがザメンホフさんのを始め、カロチャイ、ヴァランギャン、ラペンナ、エロシェンコ、フォルジュ、ロセッティ、ボールトン、ネメレ等、主だった人たちのものが網羅され、さらにどの章にも詩が一つか二つあり、詩をほとんど読まない私には「エスペラント詩入門」となりありがたかった。多くの作品は2頁前後になるようまとめられているため、当然、気に入った作品を元のままの形で読みたいと思わせられる。また、各作品の著者、作品に出てくる地名、事項、難しい単語などには肩番号がつけられ、各章末のコメント集で、説明されている。例えば、kabeiの起源など。人名には生年と没年、及び、主要な著作が紹介されている。日本人では、いとうさん、宮本さん、小坂さん、上山さん、小西さんらの名前が出てくる。この要領よくまとめられたそれぞれのコメントが、この本の魅力の一つである。「エスペラントは歴史が浅いから、文化がない」と反論されて、返事に困ったことはないだろうか?エスペラントの初級レベルを終えた人は、是非この本で先人達の築いてきたエスペラント文化に触れ、自分に合った新しい魅力をエスペラントに見つけて欲しいと思う。
さて、新版にはブロゾフスキーさんの「なぜ、アメリカ人がエスペラントを?」という、日本では良く知られている(「ノーバ・ヴォーヨ」1997年)論文が採用されている。「英語が母国語であることの優位性」という題で、私はそんな特権は要らないと訴えているドラウンさんの論文も加えられた。コルカーさんの、「エスペラントを母国語と同じレベルで使えるように」を目ざす人たちへの、英語かエスペラントか、という問題に対する解答のように思える。
* tralegis: 12.25. 2002
上記の原稿に書ききれなかったいくつかのこと
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