*途中で投げ出して放ってあった「夜間飛行」(堀口大学 訳;新潮文庫)を取り出してきて、エスペラント版を読みながら参考にした。これだと、辞書で単語をひかなくても良いので、結構なスピードで、気分を損なうことなく読み進むことができる。
*途中で投げ出したのは堀口訳があまりに冗長であるから、ということが分かった。エスペラント版を読むと、原作がとても簡明で詩的表現に満ちていることがよく分かる。
*お話の後半になると一つ二つの意味不明の単語などかまわず、文庫本で確かめるひまも惜しいくらいに結末まで一息に読んだ。なぜ、堀口訳ではこうならなかったのかと不思議なくらい。
*フランス語が分かる人ほどではないかもしれないが、原作に近い味わいを楽しめたのだから、やはりエスペラントはすごいと思う。
*冗長な訳だ、という例。単語4個からなる文の訳が、6個からなる文のそれより長くなっている。
《Vi eĉ ne tristas... Kiom da tagoj vi estos for?》
「あなたって、いざ出発というときにも、寂しそうな顔ひとつして下さらないのねえ……。今度は幾日留守になるの?」
*原文の味わいを損なわないようにとの配慮からか、mal-を使った単語をできるだけ避けているという感じがする。 malfermi → aperti, maljuna → olda など。
* tralegis: 9. 8. 2002
あらすじ
あまりにも有名なお話なので、主要な登場人物の紹介にとどめる。そして、アンドレ・ジッドによる序文(エスペラント訳あり)に引用された箇所のいくつかを新潮文庫の堀口大学訳で。
リヴィエール:郵便飛行会社の支配人。
ファビアン:操縦士の一人。ブエノス・アイレスへ向けてパタゴニア線を飛ぶ。
シモーヌ・ファビアン:操縦士の妻。
ルルー:老職工長。
ペルラン:操縦士の一人。チリー便を飛ぶ。
ロビノー:監督。
「愛されようとするには、同情さえしたらいいのだ。ところが、僕は決して同情はしない。いや、しないわけではないが、外面に現わさない……僕はときどき、自分の力に自分ながら驚くことがある」
「部下の者を愛したまえ、ただ彼らにそれと知らさず愛したまえ」
「人間の生命に比べて、より永続する救うべき何ものかが存在するかもしれない。ひょっとすると人間のこの部分を救うために、リヴィエールは働いているのかもしれない」