
| 最近読んだ「エスペラント図書」のリスト |
Mia verda breviero (Jean Forge)

タイトルとあらすじ
『年老いたピオニーロ(Maljuna Pioniro)』:
行きつけのビヤホールで、隅の席に老人が絶望的な様子で座っているのを目にした。もう三日続けて同じ場所に座っている。主人が言うには、彼は外国人らしい、何しろ分けのわからぬ言葉をぶつぶつつぶやいているから。何かただならぬ人を嗅ぎ分ける力を持っていると自負している私は、彼のテーブルへ近寄って行くと、彼は私の緑星章に気づきエスペラントで「お前はエスペランティストか?」と。そして、座るようにと頭を振った。「私の名前はフィリピ。私もかってはエスペランティストだったよ。そう、お前のような緑の狂信者さ!」「でも、もうやめた。あんな話は全部ユートピアだよ」...彼はなぜそれほどエスペラントに希望を見出せなくなってしまったか...、そして、しかし、うれしい結末が待っている。それは酔っ払ったせいの幻想か、はたまた、現実か?(全11頁)
『競走馬<エスペラント>(Ĉevalo 'Esperanto') 』:
エスペラント・クルーボ「コンコルド」の会員で競馬の騎手のライドさんが、次の競馬に「エスペラント」という馬に乗る、しかも勝算ありと例会で発表。大騒ぎになる。エスペラントの宣伝になるばかりでなく、名もない馬が本命を破って勝つとなると賭け率は何十倍にもなる。女性会員が連名で会の資金をつぎ込み、儲かった分は皆で分配しようと提案する。会計と副会計は資産がゼロになったらどうするんだと怒りだす。会は賛否両派に分かれ混乱するが、利益が出たらそれを今後のエスペラント世界大会への旅行代などにしようと私が提案すると、満場一致で「エスペラント」に賭けることに。さて、運命の日がやって来た...
『小さな喫茶店で(En malgranda kafejo) 』:
フロックコートを着込んだ年老いた給仕は、回転ドアが開いただけで、その回転の様子で客層が分かる。今入ってきたのはおなじみさんではなくて、ここが始めてのようだ。そのあとから若い女性も入ってきた。落ち着かない様子で辺りを見回している。「この店でいいかい」「いいわ。少し古めかしいけど誰にも邪魔されないわ」。この二人連れはどんな関係なんだろう。ありふれた恋人同士というわけでもなさそうだ。何か外国語をしゃべっている。スペイン語かな、いや、イタリア語かルーマニア語だ。もちろん、彼らは外国人だ。それがすぐに見抜けなかったというのは、俺も年をとったという事か...若い給仕が、あとで、その二人連れが胸に緑の星のバッジをつけていたと教えてくれる。何かの秘密結社のか? それも目に付かなかったなんて、ほんとに、年をとってしまった...
『幽霊騒ぎ−ユーモア犯罪小説(Fantoma aventuro - kriminala rakonto bomhumora ) 』:
秋の夜更け。激しい雨は止みそうにない。夫の出張中に夫の弟、ロベルトとエスペラントの会合に出かけていたヘレナは、車で送ってくれたうえ、最近、神出鬼没の強盗、ファントムが荒らしまわっているのでこんな夜は特に危険だ、一緒に泊まってあげようかというロベルトの申出を断わって、一人、大邸宅に入る。ベッドに入って新聞を読みながら灰皿から吸いかけのタバコを取ろうとして、ヘレナはじゅうたんの上にそれを落としてしまう。火がついたままなので消さなくてはと思い手を伸ばそうとすると、何と、その前にベッドの下からにゅっと手が出てその火をもみ消したのだ... ファントムが忍び込んでいる!
『十人十色(Buntaj intervjuoj - pli-malpli seriozaj) 』:
「エスペラントを勉強して、あなたは満足してますか? (Ĉu vi estas kontenta, ke vi lernis Esperanton?)」という質問を色々な人にぶつけてインタビューしてみると...
・楽天家(Optimisto)
彼は若い学生で南国気質だ。「なんていう質問だよ。自分は一年前に勉強を始めたが、いまじゃエスペラントのない生活なんて考えられないよ...戦争はなくなり、兵士にとって代わり国際混成警察がただ犯罪者だけを取り締まるんだ。彼らの話す言葉はもちろんエスペラントさ...
・熱烈な老婦人(Fervola oludlino)
その婦人は「すみません。私のサイン帳に名前を書いていただけませんか?」と私に話しかけてきた。その表紙には緑の星が輝いており、大会シールが貼ってあった。「住所も忘れないで。あなたが写っている小さな写真があったらそれも貼っていただけないかしら。家にはもう20の大会で集めたサイン帳がありますよ。私が死んだら、蔵書とともにエスペラント博物館へ寄贈すると遺言書に書いたんです...親族の連中は私のことをエスペラント狂いと言っていますが、全く気にしていません。彼らは金持ちですが、けちで...」
・懐疑派(Skeptikulo)
長髪で大きな眼鏡をかけた彼は老いた大学教授のように見え、私は例の質問をする事がためらわれたがあえてしてみた。少し間をいて「イエスでもありノーでもある!」との答えが返ってきた。「残念ながらエスペラントはエスペランティストたちがこの言葉に期待しているような事を成し遂げる事はないだろうと言えば、君はきっと反対するだろう。しかし、エスペラントは印刷術や映画、ラジオ、テレビなどと同じレベルの発明さ」「でも、<内的思想>というのがあります」「<内的思想>などというのは<ユートピアの夢>だよ。若い頃と違って、歳をとって考えが深まると苦い結論へと行きつかざるを得なくなるんだ...」...
…「じゃあ、なぜあなたはエスペラント界から離れないんですか?」「そう... なぜ...」少し考えたのち彼は晴々とした顔つきになって笑みを浮かべて答えてくれた。「なぜなら、私は... エスペラントに恋をしてしまったんだ。この魅力的で温かい言葉に...」
・チャーミングな女の子(Ĉarmulino)
黒く輝く瞳、足が長くすらっとした素敵な笑顔でエスペラントも完璧。そんな女の子が私の隣の席でコカコーラをストローで飲んでいた。「ええ、私はとても満足しているわ。エスペラントを勉強して幸せだと言ってもいいわ」私が勧めたタバコを口にくわえ「でも、本当の事を言うとエスペラントのおかげで悩んだ事もあるの。嫌いになった事さえあるわ。だいっきらいになった事があるわ」と言う。「大きらいに?」と私はびっくりして返答を繰り返した。「ええ。お父さんが何かの雑誌でエスペラントのことを知って狂信的なエスペランティストになったのは、私が10歳の時よ。...」...
・満足している人(Kontentulo)
エスペラントでのおしゃべり会で、私は濃い眉毛をした陽気な老人に興味を抱いた。私の質問に「満足せず不平を言う連中がいるなんて理解できないよ。もう何十年もエスペラントを楽しんでいるが、今のエスペラント界の状態で十分だよ。これ以上広まらないでくれとさえ言いたいな...」
・不平をいつも言う人(Grumblulo)
ちょっと腹が立って、作業部会を抜け出し隣のスタンドがあるホールへ行ったら、同じようにボイコットをした連中が沢山背の高い小さな椅子に腰掛けて飲み物を手にリフレッシュしていた。私も新製品のエスペラントという銘のあるアペリティフを注文した。「そんなもの飲んだら最後、すぐに体の具合が悪くなるぜ」と、太った男が話しかけてきた。「オリジナルのスコッチを飲みなよ。おごるぜ」一緒に乾杯('sanon!') をしたあと、彼は続けて「よく覚えておくがいいよ。エスペラントというラベルが貼ってある物は、飲み物に限らず、皆、二級品さ。...」
…「でも、あなた。エスペラントはぜんぜん面白くないとおっしゃるなら、エスペラントをしていて何かいいことがあるのですか?」「良い事?本当の事を言おうか。毎年、世界大会へと旅行し家内がいない自由を満喫できる事だな。神様のおかげだよ、家内がエスペランティストでないのは」
・狂信者(Fanatikulo)
彼と知り合ったのは、大会の大看板の前で写真を撮ってくれとカメラを渡されたからだった。彼は現代の典型的な若者だ。長髪、長いひげ、ポップ調の上着、カウボーイのはくようなズボン。そして、彼の胸には大きな斬新なデザインの緑星章。私は彼をスタンドでビールでも、と誘った。その緑星章はどこで手に入れたかという話しから会話を始めた。「いつでもどこでも緑星章をつけているのは、エスペランティストの神聖な義務です。同志たちがこの事を無視しているのに私は納得できませんよ。緑星章をつけていない同志はエスペランティストではないです」と、怒りを込めて彼は言う。私は自分の胸にちっぽけな緑星章がついているのを手で確かめてから、「つけている星が大きければ大きいほど、その人は初心者に近い、とよく言われてるよ」と、混ぜ返すと、「ベテランが緑星章をつけていないのは、恥ずべきスキャンダルですよ。だって、緑星章こそ世界に対する唯一の宣伝手段じゃないですか...」...
…彼が緑星章の件以外にベテランに腹を立ている事を列挙すると:
−例会に参加しない。
−家族にエスペラントを教えない。(フォルジュさんはエスペランティストの女性と結婚したが、息子はエスペラントを話さない!)
−エスペラントの会誌、雑誌を講読しない。
−「一年に一冊はエスペラントの本を買う事」という事をしない。
−エスペラントの放送局に手紙を書いたりしない。
…フフフ。フォルジュさん、ちょっと痛いところをつかれているが、うれしそうだ。例の斬新なデザインの緑星章もプレゼントされたし。1960年代には(も)、こんな元気な若者がいたんだ。
・ヨーロッパ人(Eŭropano)
大会で会った人の中でとても楽しかった連中の一人が彼だ。彼はホテルに泊まらないで、会場近くの道路に車をとめ、奥様と一緒にそこで寝泊りしている。二人の子どもは、もちろん、エスペラントの子ども村(Infankongreseto) にやってある。彼はいわば車で移動する遊牧民のようなものだ。私の質問に答えて「もちろん、エスペランティストで満足しているさ。エスペラントのおかげで家内と知り合えたと言う点でもね。エスペラント運動に関して言えば、私の意見では、間違った道へ踏み込んでしまっていると思う。エスペランティストは皆、エスペラントを世界中の人が話さねばと思っているが、それは気違いじみた事だ。エスペラントはヨーロッパ語だと、まず、宣言すべきだよ...」と。
…インタヴューの終わりにはフォルジュさんと意気投合する。
『緑星章をつけた殺人者(Murdisto kun verda stelo) 』:
友達でエスペランティストのクロチルドと別れて、アニタは駅へ急いでいる。最終列車に間に合わないと明日出勤できなくなるし、両親にも心配をかけることになる。ホームへ駆け込んだが、発車したところ。最後部の客車に飛び乗ろうとして、駅長に抱きとめられる。「命を大切に」マルヴィーユへ帰りたいのだと言うと「運が悪いね、次の列車な明日の朝になる」と。アニタはヒッチハイクをする事に。車道へ出てかなり待った挙句やってきたのは青のルノー。運転しているのは中年の男性だ。ちょっと太っていて身なりはきちんとしていて危険はなさそう。でも男性が一人というのはと止めようと思った時、フロントガラスに緑星章のシールが貼ってあるのが目に入った!...
…最後に、フォルジュさんの意地悪などんでん返し?
『父と息子(Patro kaj filo) 』:
冒頭に著者のノートがあり、50年前に書いた未完の原稿で、エスペラントに情熱を燃やした青年作家(フォルジュさんのこと)の熱意が読者には微笑ましいのでは、とある。
今は成功し引退している大実業家、チェスタートンの「緑の部屋(Verda ĉambro)」の描写は感動的。窓の暗幕を下ろし、壁の幕を引くとスクリーンが表れ、映写機を回すとザメンホフが「兄弟たちへ(Al la fratoj)」を朗読するシーンが映し出される...
『エスペラント界への第一歩(Unuaj paŝoj en Esperantujon) 』:
『映画界への第一歩(Unuaj paŝoj en Filmujon) 』:
『通りの向こう側で(Transe de la strato) 』:-1928年にベルリンで製作された無声映画のシナリオ。
登場人物:ユーバル(物乞い)、フランチスコ(失業者)、ヨランタ(街娼)
場所:大港湾都市
あらすじ:喫茶店で太った男が新聞を読んでいる。男の視線は向こう側のテーブルに座っている女の足にそそがれている。男の視線は次に新聞記事に向けられ、カメラもそれを追って記事をクローズアップ。「事故か殺人か?」- 今朝、運河に溺死者。みすぼらしい身なりの老人で、身元不明。この男の死には不審な点がある... 新聞記事がフェードアウトし、シルエットだった物乞いの姿がだんだんはっきりしてくる...
作者について:写真入り。本名、Jan Fethke、ポーランド人。1903年にオッペルン(Oppeln) で生まれる...などと細かい活字で1頁で紹介。
(2008. 10. 13. 最初の書き込み。)
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