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最近読んだ「エスペラント図書」のリスト


読書記録 (144)
Kiun libron mi legis lastatempe? 

Vivo de Zamenhof (Edmond Privat)

『ザメンホフの生涯』(エドモンド・プリヴァ) 


(17.6 x 12.5 x 0.7 cm: pp 171: UEA ロッテルダム 2007年)
(横浜世界大会で購入:購入価格 1,280円)

Unuvorte
*名著の第6版だが、この版ではリンスさんが考証し、編者として注をつけ、プリヴァさんの思い違いなどを細かく訂正し、より読み応えのあるものに仕上げている。今年(2007年)のエスペラント世界大会(横浜)で売り上げ第2位(75冊)を記録した。エスペランティストの必読書。


読書メモ
*古典的な名文なのだろうが、名詞の後に形容詞を置く詩的な言い回し(?)が多く、読み易いとはいえない。しかし、エスペランティストたるもの、一度は読んでおきたい。ブローニュ大会当日の記述などは、何度読んでも胸が熱くなる。

  Jen sur scenejo, kun estraro de l' kongreso, eniris la amata Majstro.
  Malalta, timema, kortuŝita, kun frunto tre granda, rondaj okulvitroj,
  barbeto jam griza. Ĉio jam flugis aŭ svingis en aero, manoj, ĉapoj, tukoj,
  en duonhora aklamado. Kiam li leviĝis post salutoj de l'urbestro
  la fervoro retondregis. Sed jam li ekparolis. Ĉesis la bruado. ĉiuj residiĝis. 
  Tra silento sonis liaj vortoj:
    "Mi salutas vin, karaj samideanoj, fratoj kaj fratinoj el la granda tutmonda
    homa familio, kiuj kunvenis el landoj proksimaj kaj malproksimaj, el la plej
    diversaj regnoj de la mondo, por frate premi al si reciproke la manojn
    pro la nomo de granda ideo, kiu ĉiujn nin ligas...

*手元にある第5版と比べてみると、注のほかに、資料としての写真が倍以上に増えていて、ザメンホフさんの仕事部屋の写真などもある。著者プリヴァさんの略歴(リンスさんによる?)、インデックス、参考文献、ザメンホフが生存中に開かれた世界大会のリストなどが付けられている。特にインデックスは、Kolkerさんの 'Vojaĵo en Esperanto-Lando'(第3版) に付けられたインデックス同様、エスペラントの歴史などを調べるときにとても役に立つと思う。

*冒頭には、リンスさんによる「まえがき」と1920年(初版)の著者による「まえがき(注意書き)」がある。第5版にあった、1916年に36歳の若さで亡くなった熱心なエスペランティスト、ムーディーさんの思い出のために出版するとの、友人たちの初版への「まえがき」と、第2版への「まえがき」は削除された。

*ムーディーさんについては、本文中でプリヴァさんは死が間近かに迫ったザメンホフを描きながら、<...若い、熱心な活動家、ボリングブルック・ムディーさんのことを、彼(ザメンホフ)は、夜、暖炉のそばでくつろぎながら口にした。>とわざわざコメントしている。さらに、本文部分の91頁に、ケンブリッジ大会の折にザメンホフ夫妻と話している背が高く恰幅の良いムーディーさんの写真を挿入している(第5版にはない)。

*リンスさんによる「まえがき」で、この本の生まれた経緯から、今回の改訂版が出されるまでのことが良く分かる。プリヴァさんの記述に注をたくさんつけざるを得なかったのは、ザメンホフの死後3年で書かれたということで、以後の伝記作家の基礎文献となる、ザメンホフによる「ミショーへの手紙」(1905年)が明らかになったのは1948年のことだし、「オリジナル著作集」(1929年)や、いとうかんじさんの「ザメンホフ著作集」が利用できなかったから。それにもかかわらず、死の直前の1916年を含め、3回もザメンホフに直接会って話をし、死後もザメンホフ家を訪問、書斎の机の上に残された最後の手書きの原稿の一部が(写真と共に;第5版には写真なし)紹介されているなど、同時代性のインパクトは大変に強いものがある。

*私にとって意外だったのは(全く無知だったのは)、この本はエスペラントの誕生と発展の歴史に記述の重点が置かれていだろう、との先入観が、全く、裏切られたこと。ザメンホフさんがその人生の後半に、言語の統一だけでは人類に平和は訪れない、宗教観の統一が必要との考えに至り、ヒレリスモ、ホマラニスモの考え方を発展させてゆく章が、この本の後半にたっぷりあること。今も宗教間の対立が世界各地で起きていることを考えると、ザメンホフさんに再登場してもらいたいものだと切に思う。

*目次を訳していて合成語で意味不明の単語('trakrompreno') に出会い、どう訳そうかと一二日考えた。'tra' + 'krom' + 'preno' で何か具体的な意味がすぐ浮かぶのかと。第5版を見ると、何と 'trakompreno' のミスプリント。合成語は便利だが、それが弱点にもなる一例か。

*年末(2007年)のポーランド放送によると、リンスさんはUEAの創立100周年記念大会でもある2008年のロッテルダム大会にあわせその歴史を記録した本を出版するという。楽しみだ。



* tralegis: 12. 28. 2007.



目次(サブタイトルともいうべき物があり、内容のインデックスにもなりうるので、それも訳した)
*第1章 リトバ国の民族
  …リトバ国 / ミケーヴィッチより / 歴史 / リトアニア人 / ドイツ人 / ユダヤ人 / 聖書より / ポーランド人 / 白ルテニア人 / ロシアの支配 / ポーランドのメシア信仰 / ミケーヴィッチの予言 / ユダヤのメシア信仰 / イザヤの予言 / 1850年から1870年にかけてのヨーロッパにおける戦争

*第2章 ビヤリストックの幼い子供
  …父 / 母 / 家庭 / 兄弟 / 性質 / 母への愛 / 夢と現実 / 通りでの情景 / 民族間のよそよそしさ / 民衆の間に見られる偏見

*第3章 ワルシャワの高等中学校生
  …ビヤリストックのポグロム(ユダヤ人大量虐殺) / 民衆間の壁 / 世界語のアイデア / 歴史の徹底解釈 / ラテン語に対する情熱 / ネクラソフ / 労働者に対する同情 / 言語探索 / 辞書と論理学 / ボロブコへの手紙から / 接尾辞 / 英文法について / 1878年の言語プロジェクト / 同僚 / 高等中学校卒業 / 父の反対

*第4章 学生時代
  …モスクワ / 医学生 / 困難な生活 / シオニスモ / ヘブライ人への詩 / ショーヴィニスムを嫌悪 / 故郷へ / 焼かれたノート / 言語を書き改める / 『夢の中で』 / 完璧を目指して / 長い辛苦 / 言語の精神 / 沈黙が苦しめる / 孤独 / 『我が思い』

*第5章 エスペラント博士
  …クララ・ジベルニク / さまよう医師 / ボラピュックのことを知る / 新たな責め苦 / 婚約 / 親切な義父 / 第一書の出版 / ルビコン河を前にしての興奮 / 『おお、私の心臓よ』 / 言語の登場 / 結婚 / 冊子の発送 / 返事と参加 / 第ニ書 / 運命の厳しさ / 『エスペランティスト』 / 切迫した状況 / トロンペーター / 母の死 / グロドゥノヘ引っ越し / トルストイ / ロシアの検閲

*第6章 理想主義の預言者
  …父と兄弟と / 1989年ワルシャワに戻る / 貧者たちの眼科医 / 夜間の著作 / 『兄弟たちへ』 / ヒレリスモ / ヘブライ人の党について / 1900年から1905年におけるエスペラント / パリを訪問 / ブローニュでの大会 / 国際的な兄弟の交わり / 預言者としての演説 / 不思議な力に対する祈り / 忘れられない時間

*第7章 人類の一員
  …ブローニュでの体験 / 1905年のロシア革命 / ポグロム / カフカスでの虐殺 / 対照的な印象 / 『ホマラニスモ』 / 言語と宗教 / 中立言語 / 信仰と道徳 / 東洋と西洋 / 民族の宣言 / 人類人宣言 / 十二の論点 / 国の名前 / 中立寺院について

*第8章 大会演説
  …『内的思想』 / ド・ボーフロン:『単なる言語』 / ブローニュ宣言 / 1906年のジュネーブ宣言 / ザメンホフの激怒 / 大会の目的 / 1907年のケンブリッジ大会 / 喜ばしい印象 / つつましくそして自由に / 『マイストロ』と呼ばれることに反対 / エスペラント主義の仕事について / ロンドンでの承認 / 愛国心について / ギルドホールでの演説

*第9章 言語学者
  …1984年の改造扇動 / 1907年の『代表団』とイド / 『創造者ではなく創始者』 / ザメンホフとド・ボーフロン / 生命と自由裁量と / 『第ニ書への付言』から / 自然法則 / 理論と実際 / アメリカの哲学者たち / ウィリアム・ジェームス / ヘンリー・フィリップス / 破壊を伴わぬ展開 / 1908年のドレスデンでの演説 / 1910年ワシントン

*第10章 作家
  …著述への鼓舞 / ダンテについて / 世界文学としてのゲーテ / 翻訳 / 旧約聖書から / シェークスピアの『ハムレット』から / 最初の基礎 / オリジナルの散文作品 / 音楽について / スタイルについて / 実証できる戦闘好み / 心 / 詩 / 『道』から / 大衆詩人

*第11章 道徳的な思索家
  …1909年のバルセロナ / UEA について / 1911年の民族会議へ / はいた主義者たちの波 / 1912年クラコフでの引退 / ホマラニスモについて / 宗教と道徳 / 自由信奉者たち / 中立的な人間の宗教 / 印刷されなかった原稿 / 子どもたちの教育 / 枠組みの必要性 / パリ大会へ / 戦争勃発

*第12章 死にのぞむ人
  …戦争 / ワルシャワで / ユダヤ民族主義 / 外交に関する手紙 / 戦争と悲惨さと / マイストロの落胆 / 生きる目的 / ホマラニスモについての手紙 / 企画された会議 / ロシア革命 / 心臓の最後の鼓動 / 埋葬 / 彼の信仰 / 精神の不死性について / 若者たちの危機 / キリスト教の教えについて / アブドゥール・バハ / 人類の治療者 / ザメンホフの偉大さ




 (2007. 12. 23. 最初の書き込み。)

 

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