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最近読んだ「エスペラント図書」のリスト


読書記録 (133)
Kiun libron mi legis lastatempe? 

Bestoj kaj homoj (Bernard Golden)

『けものと人間』
  (バーナード・ゴールデン)


(20.8 x 14.9 x 1.0 cm: pp 137: Edistudio 社 ピサ イタリア 1986 年刊)

Unuvorte
*豊富な語彙。美文。ゴールデンさんの魅力満載の傑作短編集。


読書メモ
*エスペラント発表から100年(1887−1987)を記念して出版されたもの。著者自身による前書きと用語集(glosaro) がある。用語集には英語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、ラテン語、ヴォラピュック(volapuko)、そして、「エスペラント日本語辞典」にも載っていないネオロギスモ(新語)が解説されている。著者の博学さがこのことからもよく分かる。

*前書きでは「第1作目の『昨日−今日−明日(1982年)』の成功に勇気づけられこの本を出版した。オリジナルが発表された時のものとほとんど同じだが、ミスプリを訂正したり、少し文章に手を加えたりしている」とある。前書きは著者がハンガリー在住時に書かれている。

*各短編の後に出典と発表時期が載っていて、受賞記録も記載されている。@はこの作品集の中で一番の傑作である。この著書のタイトルにも関連している。Aは1979年の Internaciaj Floraj Ludoj で1位。Bは1980年のマドリッド・エスペラント・リセの文芸コンクールで第3位となったもの。Cは1982年の UEA の文芸コンクールで第1位、Dは同じコンクールで第2位となったものである。

*Eは1981年の Bulgara Esperantisto 誌で第2位、Fは1978年の Internaciaj Floraj Ludoj で第1位となったもの。Gは1977年の Tridenntum での国際文芸コンクールの小説部門で第1位、Iは1980年のマドリッド・エスペラント・リセの文芸コンクールで第1位となったもの、Kは、小生、以前どこかで読んだことがあるが(Vojaĝo en E-lando ではない)、1980年の Bulgara Esperantisto 誌で第2位となったものである。

*前作におとらず、この本のどの作品も大変面白い。受賞歴が示しているとおりである。その上、辞書を頻繁に引かざるをえなかったが、その語彙の豊富さには感心させられた。例えば、80頁から81頁にかけて
 Aŭdiĝis nur la sordina ĉirpado de miriado da insektoj... の 'sordina(弱音器をつけた)' や 'miriado(巨万、無数)' 。
 Uzante sian dikan korpon kiel ramon, li ĵetadis sin kontraŭ la pordon... の 'ramo(破城槌)'。
 Laŭ la mallonga fasono de la kitono de lia akompanantino, oni povis konjekti, ke ŝi estas hetajro aŭ eble simpla puteno... の 'fasono(仕立て)'、'kitono(ギリシャ時代のゆるやかな衣服、キトン)'、'hetajro(ギリシャの高級売春婦)' など。
日本人にはまねが出来ないのではないか。

* tralegis: 11. 26. 2006



短編のタイトルとそのあらすじなど

(1) Bestoj(けものたち)
…場所はケニヤ。東アフリカ探索研究所の私は新任の民俗学者のアメリカ人夫婦を加え、仲間たちとクリスマス休暇にサハリをしにキャンプ地へ出かけることになる。ランド・ローバーの運転手として加わったベトナム帰還兵は、いきなりその荒っぽい運転で紳士淑女の顰蹙を買う...英国の階級社会のいやらしさを描く秀作!

(2) Fetiĉoj kaj fotoj(物神と写真)
…ガーナで17世紀ごろに作られた城砦遺跡を探している私は錆びついた大砲が原住民たちの物神として祭られているのを見つけカメラに収める。しかし、写っていたのは... 今なら、デジカメだからフィルムを現像所に送ることなく傑作を目で確かめられるのにと、ふと思った。しかし、ゴールデンさんはそれなら別なトリックを考え出すかもしれない、とも。

(3) Bomba vojaĝo(爆薬旅行)
…空港でかばんの置き引きに成功したのは良いが、中身はテロリストが用意していた爆弾!

(4) Delogado per krajono(鉛筆で誘惑する)
…パリジャンヌと画学生の勝負。美人のシャンタールはレストランにうぶな学生を残して外に出たのだが、...「ダフ屋」なんて単語('biletŝakristo') なんて単語に出会った。

(5) Vigla nokto en la haremo(ハーレムの生き生きした夜)
…アバダーンの港でスクリューの故障のため出航が一日延期になって...、水夫のデュピーは動物園の塀を乗り越え大金持ちの所有になるハーレムに入り込む。ゴールデンさんは読者の好奇心に十分答えながら楽しい結末で締めくくる。「タンカー」は 'cisternŝipo'。

(6) La tragedio de Ĉerven(チェルヴェンの悲劇)
…ガイドのペトロフは中世の城塞都市の廃墟を訪れた観光客に、この井戸から骨が見つかったのだとどうしようもない退屈した見物人たちの興味をかきたてる。二人の男の骨で、一人は中年のもので短剣がささった肋骨、もう一つは老人のものだ、と。そして、要望にこたえて勝手に空想話をでっち上げる。こうなると、もうゴールデンさんの独壇場!こんなガイドがついてくれたらどんなに旅行が楽しいか...

(7) Memoraĵoj el Pompejo(ポンペイのお土産)
…アメリカ人旅行客、バトラー夫妻。ポンペイをガイドブック片手に散策。主人のほうは写真を撮るのに忙しい。売春宿の跡のところで、婦人を木陰に休ませておいて、カメラをもって被写体を探すが入り口には鍵がかかっていて入れない。突然、「中が見たいんですか?」と声がかかる。「鍵なら私、持ってますよ」...。ここでも、読者サービス満点。バトラーさん、高いポンペイ土産を買う羽目に。

(8) La sanktejo(神聖な場所)
…シラキュースの暴君、ディオニジオ(405-367 aK) がレギウーモを包囲攻略したとき(388/387 ak) のこと、月明かりの神殿に宝物を盗みにきた傭兵を住民の一人が殺す。翌朝、神殿の前には2体の死体が...

(9) La nekonstruebla turo(建てられない塔)
…賢帝に代わって王位についた息子は臣下に無理難題を申しつける。「弓矢を用いないで百頭の鹿を捕らえるように」「王宮の周りの堀をワインで満たすように、ただし籠を使って」「記念の塔を建てろ、しかし、てっぺんから先に」と。先王の台所係だった男がこの難題を見事に解決する。どうやって...?

(10) La malfidela reĝino(不貞な王妃)
…ネサウアルピーロ王は、后に与えたはずの指輪を若い貴族がはめているのを見とがめる...

(11) Meksika aperitivo(メキシコのアペリティフ)
…憧れのメキシコへついた日に、近所のスーパーへテキーラを買いに出て、自分のホテルが分からなくなってしまう。「チップを与える('gratifiki')」。

(12) La novaj antikvaĵoj de s-ro Morales(モラレス氏の新しい骨董品)
…骨董品店を経営するモラレス氏は、ジャイナ神像を原住民に作らせて荒稼ぎしている。それをヘリペ警部と私は張り込みの末、摘発したのだが、彼の言い分は...

(13) Kolombo sur vulkano(火山の上をとぶ鳩)
…メキシコの山地で高山植物を調査研究している私は、ハイキングにやってきたオペラ歌手のメルセデスと知り合う。そして、アメリカ文化センターで開かれた写真展でスコットランド出身の女性カメラマンとも知り合い、両手に花だ。いつまでもこの状態を続けるわけに行かず、メルセデスとは手を切ろうと決心するが...「ククルクク・パロマ」「ラ・マラゲーニヤ」「シェリト・リンド」など、の歌が流れる...途中で結末が割れる。スコットランド娘は「R音をのど深く発音する('kartavo')」。

(2006. 11. 26. 最初の書き込み。)

 

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