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最近読んだ「エスペラント図書」のリスト


読書記録 (131)
Kiun libron mi legis lastatempe? 

Hieraŭ - Hodiaŭ - Morgaŭ (Bernard Golden)

『昨日、今日、明日』  (バーナード・ゴールデン)


(20.9 x 14.7 x 0.6 cm: pp 96: Stafeto ラグーナ社 アントワープ 1982 年刊)

Unuvorte
*流れるような見事なエスペラントで短編が12作品。いずれも意表をつく面白さ。


読書メモ
*もっとたくさん彼の作品が読みたいと思うが、"Vojaĝo en Esperanto-lando" の索引を引いても、"Pasteĉo" の引用作品を見てもゴールデンさんの名はなく、発表された作品はあまりないのかも知れない。この本には序文もあとがきもない。

(*峰 芳隆さんから <Bernard Goldenは,ハンガリーに住んでいたアメリカ人で、一時はakademianoでした。1970年、80年台には、盛んに書いていたのですが、最近はまったく名前を見なくなりました。これ以外に、Bestoj kaj homojという短編集があるのですが、KLEGでは品切れですが、JEIにはあるようです。その他、Antaux la kulisojという一幕劇を集めた本があります。>とのメール(2006.11.16) をいただきました。ありがとうございました。)

*ゴールデンさんは考古学の専門家か? そして、作品A、B、C、E、Hから分かるように、人間はずるがしこい生き物だという考え方にたつと思われる。

*作品Eの題名の misio は「任務」という訳より、トム・クルーズ主演の映画「ミッション・インポシブル」にあるように、カタカナ語で訳したほうが理解しやすいと思った。蛇足だが、エスペラント日本語辞典には「@〔使節・使節団などの〕任務、使命。A伝道・布教。B使節団。」とあり、ローバート・デ・ニーロ主演の映画「ミッション」はAの訳に相当する。

*作品Dで、前線基地の隊長、ハリソン少佐が「君はクロタール峡谷を知っているだろう」とフレッチャー大尉に聞くと、「あなたが自分のポケットの中身を知っているのと同じくらいに」と返事する。こんなやり取りは、私にはとても思いつかない。いつも機知にとんだ会話をするように勤めようとする心構えが必要だ。文化の違いか?

*'glite kaj glate(滑らかに)' という慣用句が作品Hで出てくる(Mi aŭdis, ke ili glite kaj glate aranĝas la "eksporton" de la antikvaĵoj.)。ちゃんと "Ilustrita frazeologio" に出ていた。その説明は =bone funkcii; renkonti neniun malfacilaĵon.

*プラド美術館が「エル・プラド」と愛着を込めて(?)呼ばれていることを知った(J)。

*作品Eは1977年のUEA文芸コンクール第1位。Aは同年の第2位。Fは1976年の新人賞。Bは 'Voĉo' 誌の1976年の文芸コンクール第1位作品。

*59ページと60ページが入れ違いになっている。頁をまたぐ文章の意味が通じなくなるので最初は落丁かと思った。ミスプリで気がついたのは一、二箇所。非常に少ないと言える。





章立て

(1) Iniciado en la groto(洞窟でのイニシエーション)
…パリの先史時代研究所のデュヴァル教授は「悪魔の岩」と呼ばれる山地に先史時代の動物の骨が見つかったとの報で、昨日から10歳の息子を連れて現地調査に来ていた。大広間へと続く洞窟を見つけたと、同僚二人が興奮してやってくる。デュヴァルはまず下見にと、洞窟へ一人入って行く...。同時進行で、先史人の一団が若者たちのイニシエーション用の場所としてまさにその洞窟を利用ようとしている様子が、11歳の少年の目を通して描かれる。

(2) La profanado(冒涜)
…トリノのエジプト博物館にある、テーベの墓の壁画の一部に描かれた、ミイラ製作見習いの少年が目撃した話。不幸にも幼くして亡くなった王女メルティットフェスのミイラ化の作業が親方の差配の下、清めの部屋で行われている...。

(3) Malegala disdivido(不公平な分け前)
…イスファファンのバザールで雨の夜、貴金属商の店に二人組みの泥棒が入った。バザールの門番もぐるになっているのでバザールを抜け出すのには成功するが、番犬と警官たちに後を追われ娼家の女将のところへ逃げ込む。

(4) La vosto de la vero(真実を告げるシッポ)
…尻尾を引っ張ってもロバが鳴かなければ犯人ではないと言われ、3人の容疑者が順にロバがつないである小屋へ入って尻尾を引っ張る...。大岡裁きの一編。

(5) Incidento en Krotal-kanjono(クロタール峡谷での出来事)
…アメリカ西部開拓時代。インディアンの襲撃に備える最前線。フレッチャー大尉と新米のターナー中尉がネルソン砦に援軍の要請のため、夜陰に乗じて3日分の準備をして二頭の屈強な馬に乗って出発する。先発の二人の将校が惨殺され、基地へその死体が届けられた直後のことだ。途中、月下の下、薪を集めているインディアンの女性たちに出くわす...。

(6) La lasta misio(最後のミッション)
…最初のミッションがうまくいって、スパイなど簡単な仕事と思い始めたハンス・シュナイダーは、2度目のミッションであっさり逮捕されてしまう。なにがいけなかったのか?

(7) Tropika festeno(熱帯の祝宴)
…「人肉を食べる」がテーマ。ニュージーランドの未開地にて。

(8) Le venĝo(復讐)
…タンペレのある暖かい、美しい夏の夕べのこと。町の中心部で二人の若者、ヴィルホとラウリが殴りあいのけんかを始める。原因は女の子、イリア。叩きのめされたラウリは復讐を決意。猫いらず入りのビールやら、ヴィルホのオートバイに細工することなどを計画するがうまく行かない...。結末は、「...そして、彼はなぜ皆が復讐は甘いと言うのかが分かった(kaj tiam li komprenis, kial oni diras, ke la venĝo estas dolĉa.)」

(9) Ruĝa vino kaj blanka marmoro(赤ワインと白大理石)
…ローマのホテルで偶然に出会ったウィンストン博士とキューン教授。二人ともローマ帝国時代の碑文の研究者だ。ウィンストン博士は第二次世界大戦で陸軍にいて、ナポリを行軍したとき、ある建物の壁に碑文があるのを見たのだが、急がれたので拓本を取れなかった、いま、その内容が大変重要な記録であることが分かって、ナポリを再訪したのだが、もうその建物はなくなっていたと、教授に残念そうに話す。教授が古物商に当たってみたらと、知り合いを紹介してくれる...。

(10) Mallonga vojaĝo al Brazilo(短かったブラジル旅行)
…コワルスキー青年はずっと外国旅行を夢見ている。中学校の学業の出来は良くなかったが、地理だけは抜群の成績だった。先週、海員高等学校の入試に落ちたと知らされたのはショックだった。次になにをするかを考えられず、グダンスク湾に浮かぶ船を眺めてぶらぶらしていた...。

(11) Posttagmezo en El Plado (プラド美術館でのある昼下がり)
…私が外国で経験した一番素敵なことの一つは、17世紀の歴史についてスペインで博士論文の資料を集めていたときのことだ。出典がはっきりしないので使えないのだが、ラモン教授の話にはいつも私は感心していた。教授がある日私にその秘密を話してくれた。私たちはプラド美術館へ出かけ、有名な「ラス・メニーナス」の前に立った。教授が「君は、マルガリータ王女、二人の侍女、小人のマリ・バルボラとニコラシト、そして、われらの友人のディエゴがこの絵の中でなにを話しているか分かるかね」と言いだす...。

(12) Kosma rubaĵo(宇宙ゴミ)
…8月3日の夜、ハンガリーのバラトン湖東岸に巨大な地球外物体が落下する。物体は破片を少し地上に残し湖中へと沈む。組成が分からない軟らかい金属とプラスチックが世界中の化学者によって分析されたがどんなものかが全く分からない。厄介なことに、プラスチックは少しずつ体積を増大させてゆく...。日本の科学者、竹村教授とその助手の上田さん、内科医の中川博士などが登場する。あっと驚く結末!

(2006. 11. 12. 最初の書き込み; 11. 18. 追加の書き込み。)

 

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