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最近読んだ「エスペラント図書」のリスト


読書記録 (12)
Kiun libron mi legis lastatempe? 

Memori kaj forgesi  (Trevor Steele)


(20.4 x 14.0 x 1.2 cm: pp 143: 1992 年刊行)

Unuvorte
*オーストラリア北部山岳地方で暮らす白人とアボリジニーたちの人生模様を描いた短編集。


読書メモ
*短いのから、長いものまで、5編の散文 (prozo) 集。Steele さんの少年時代の思い出、青年時代、北部オーストラリアでおそらく教員として過ごしたであろう時期の見聞、が小説の素材とされている。

*序文で、H. Mayer さんがエスペラント文学がついに他の文学の質の高さに到達した、とし、さらに文学としてばかりでなく、言語の点でも新しい道を示したと絶賛。 Jen la moderna Esperanto! (これぞ現代のエスペラント!)と。

*確かに、アボリジニーの人たちのなまった英国語を、母音を落としてアポストロフィで表したエスペラントでうまく表現したり、4文字の英国語、 'shit' や 'fuck' を 'merdo' や 'fek-' で表したり。例えば、kon-fek-domojn など。エスペラントのスラングも続々出てくる。

*アボリジニーの人たちの悲惨な生活、そのような状況にいたったいきさつをはじめて知った。そして、白人達の誤った対処の仕方も。「キリスト教の帝国主義」など、「なるほど、そうか」と納得。いつか暇ができたらオーストラリアの歴史を調べてみたい。

*「汗をかくような暑さの12月の土曜日だった」などと書かれると、あっ、ここは南半球だったんだと、びっくりしたりする。

*エスペラントの使いっぷリに、全く感心するばかりだが、一つだけ例を。ボデイーガードをあらわすのに、pafpretaj pistoluloj (いつでもピストルを撃てるように準備している男達)。

* tralegis: 10.27. 2002



5作品の概要
*白人の少年が親から注意されているにもかかわらず、アボリジニーの兄、妹と友達に。親が道路工事で働いているため、その子達は不定期にしか学校に来られない。悲しい別れ。思い出を消すために森の小さな滝を、ふたたび訪れる。…Memori kaj forgesi

*1950年代の、まだテレビがなかった頃。北部クイーンズランドの山村で。夜7時半から9時までの情景をすべて地の文で描写。若い恋人どうしがソファーでラジオを聞きながら話をしている。その部屋へお母さんがやってきて3人でお茶を飲んでいると、若者が突然おならをする。父親も仕事から帰ってきてビールを飲み始める。…Aminduma vespero

*全体が、田舎にホテル住まいをしている若い青年教師ヒューゴが恋人のリタさん宛てに、3月から6月末まで2週間おきに出した手紙文からなる。周囲の人たちの教養のなさを痛烈な皮肉一杯の文章を並べて恋人に訴える。土地の有力者がダンロップ・ラリーの北部での折り返し地点を地元まで延ばし、自らの企業に利益をもたらそうと奔走する話が中心。なかなかに楽しめる。手紙のはずなのに、Steele さん、つい、筆がはしって小説風になってしまう。…Mia kara Rita!

*「こんなつまらないものを書かないで、もっと何か教育的な題材はないのか!」との編集者からの手紙に答えて書いた、という前書きがあって、名もない田舎の、具にもつかない男が、-- 2 と S で字が違っていることが、学校へ入ってから何年もたって分かった男、女性と見たらすぐ手を出したがる男が、-- オーストラリアのメディアを支配する大物になるまでの、奇想天外な、しかしありそうな話が展開。…Heroo de nia epoko

*この作品も、博士論文として資料を集めていたが、病気になって続けられなくなったので文学風にまとめた、との前書きのあと、「我が仕事に対する弁明」とのラテン語のタイトルがつけられた、クロード・ウッド師の手記から話が始まる。この本の5編の中ではこの作品が一番の秀作。
 UPA (オーストラリア統一人民協会、とでも仮に訳しておく;アボリジニーの赤ちゃんを、親から引き離して西欧の文化の中で教育して自立させるという運動を、キリスト教の伝道師を中心に展開)のクロード師が、アボリジニーの中でも良く出来た娘、グロリアを、キリスト教に感化されたアボリジニーの男性と結婚させて、アボリジニーの人たちの、精神的にも、物質的にも未開の社会を、内部から変えてゆこうと奮闘する話。
 クロード師と、アボリジニーのハーフの若者チャド(アボリジニーの母から引き離され、白人夫婦に預けられて西洋の教育を受けている)との、individuismo と kolektivismo の論争は、特に印象に残る。Steele さんの主張する、異文化の理解の大切さがよく訴えられている。…Savo de nigra animo

 

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