
| 最近読んだ「エスペラント図書」のリスト |
Tria kolekto da krimnoveloj (Ronald Cecil Gates)

7つの短編のタイトルと簡単なあらすじ
*ある夜、偶然にも(Hazarde en la nokto)・・・
表紙のまずい「絵」がこの冒頭の事件をうまく伝えている。ある夜、新聞社に勤める若いカルロが駅からの帰り道、新聞社主の娘が車でさらわれるところを目撃する。車のナンバーのうち最初の3文字、LUMは見えたが、その後の数字の3文字は読めなかった。彼の妻は新聞記者で、二人の話を合わせると、事件の全体が見えてくるという仕掛けになっている。凡作。
*果たされなかった約束(Promesoj ne plenumitaj)・・・
ノラン警視が、3日前に知り合ったばかりの看護婦のノルマとレストランで食事をしていると、事件がすぐ近くで起きたと知らせる電話がかかってくる。彼女を連れて現場へ行くと、道路わきに男が死んでいる。その男の顔を見るなり、ノルマが気絶してしまう...
*紹介状(La referenco)・・・大学でエコロジーを教えていた元教授が、政治家や経済学者が集まる会で講演をすることになり、昔読んだアダム・スミスの「国富論」を本棚から引っ張り出し、講演の準備をしていると、彼のゼミにいたという学生から紹介状を書いてくれと電話がかかる。優秀な学生だったことを思い出し、喜んで書こうと返事するが、その学生はにせ者で...。ゲイツさんが元教授に託し、国富論をエコロジーの考え方で読み解くといったたぐいの薀蓄を傾けるのが面白い。「アダム・スミスのユートピアはまだこれから先のことであって、国富論から200年以上たつが、人の性は少しも変わっていない」として、この作品を終わらせている。
*無人島(Gezelta insulo)・・・
「無人島に一人とり残されるとしたら、どんな音楽を持って行くか」という1時間のラジオ番組、「無人島」、をからめた話。ゲイツさんの好みの音楽、かなり凝った曲の数々を聞かされる羽目に。それもまた楽しいが。例えば、第1曲目はヘンデルの「陽気な鍛冶屋」だが、オーケストラではなく、ジョン・ウイリアムスのギター演奏によるもの。そして、ジャズが2曲入った後、最後の第9番目はモーツアルトの交響曲第40番。イオネル・ペルレア指揮、バンベルグ交響楽団のもの、だと! さすが、ゲイツさん!
生放送中に資料を取りに外にでた事件を目撃した主人公が、通報しようと電話を探しに行くわけにもいかず、ラジオを使って警察に知らせるというアイデアを思いつく・・・このアイデアをもとに、全体を膨らませた感のある作品!
*大都会の夜(Nokto en la metropolo)・・・なかなか遊びに来てくれない大都会に住む息子たちに会いに出かけた田舎暮らしの夫婦。泊まったモーテルで殺人事件に遭遇する。警部とこの夫婦がありふれた芝居をして、犯人に自白させる。
*鍵(La ŝlosilo)・・・
深夜、ガソリンスタンドが二人組みの強盗に襲われ、金庫から現金袋が盗まれる。検問で、一人で車を運転していた男が逮捕され、後部座席から空の現金袋と金庫の鍵が見つかる。警察がガソリンスタンドへかけつけたときには、金庫は鍵がかかっており、もう一つの鍵は、夜は不在の経営者が持っている...。鍵をめぐるトリック。一人の陪審員が不審な点に気づき、無実の罪を着せられた運転手が救われる。そこそこ読ませる。
*試合の後で(Post la matĉo)・・・
クラブで元警視二人と、現役の警視が飲んでいたビールジョッキの一つに砒素が入れられ、元警視の一人が亡くなる。犯人は3人のうちの誰を狙ったのか? 会員制のクラブに入り込めた犯人は? 祝勝会を報道しようと沢山フラッシュがたかれていたが、その内の一枚の写真が決め手になる。切れ味がなかなかに良い。秀作。
(2005. 6. 25. 最初の書き込み。)
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