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読書記録 (1)
Kiun libron mi legis lastatempe? (la plej frua)

La Ŝtona Urbo  (Anna Lowenstein)


(20.7 x 13.6 x 1.8 cm: pp 350: 第2版 2000年刊行)

unuvorte
*「ベン・ハー」、「グラディエーター」を髣髴させる中級向けの歴史ロマン。


読書メモ
*英語で出版されたものを著者自身がエスペラント訳したもの。謝辞にあるように C. Piron や、ご主人の R. Corsetti の助言を考慮してあるのでか、とても読みやすい。

*著者自身が Corsetti さんと結婚して、英国からイタリアへの移住を経験しており、そのことがこの作品の主人公 Bivana の生活の変化の描写に生かされているのだろう。例えば、Bivana が、こちらでは(ローマでは)夏はより長く、しかも、より暑い、と回想する場面などで。

*この本を読めたことだけでも、エスペラントを長年やってきて本当によかったと思う。

*表紙の赤毛の女性は主人公の Bivana を思わせる。巧みな装丁だ。

*ローマの大火の記述など、手に汗握る場面もあり、また、キリスト教の初期の歴史を奴隷の目から見るという形で記述されていて分かりやすく、読み進むにしたがって止まらなくなる。古くは「ベン・ハー」、最近では「グラディエーター」の背景を思い起こさせる。

*戦争に負け、捕虜として捕らえられた老人、子供、女性、壮年男子のローマ人兵士による選別の場面は、ユダヤ人に対するナチスドイツの迫害を思わせる。

*大量の奴隷を使った都市の建設、植民地からの収奪の上に成り立つローマ。緑が失われた「石の都」ローマと、英国の田舎の豊かな田園風景の対比などは、先進国の傲慢さ、先進国と発展途上国の対比を思わせて、考えさせられる。

* Bivana がまだ子供の頃、奴隷として捕らえられる前、故国で経験する夏の始まりを祝う Belteno の儀式は印象的。その年の豊穣を祈って若者が La Suno として火の中に身を投じる。

*これから読まれる方のために、主要な登場人物と、その簡単な系図を以下に記します。

《英国にて》
 patro
 patrino
   - frato: Atepilos
   - mi: Bivana
   - fratino: Vinda
   - frato: Tasgjos
 najbaro: Alaunos
 najbarino: Svadva
   - filo: Belinos
   - filino: Elvisa
 tribestro: Katmandos
 tribestrino: Rigandrika
 reĝo: Kunobelinos
   - filo: Karatakos
 frenezulino: Dumna
 druido: Dumnovalos

* tralegis:8.24.2002


あらすじ
《第1部》 英国
 【第1章】紀元1世紀の英国。ケルト民族の一部族の娘、赤毛のBivanaが主人公。麦わらぶきの家の集落に、両親や隣人、親類にとともに平和に暮らすさま。ローマを見てきた老人の話の内容に子供らしい驚き。突然訪れたローマからの二人の商人に対する部族の長や呪術師の応対の様子。近隣の部族の略奪攻撃とそれに対する報復。Belteno の祝祭。年頃となった Bivana の結婚の取り決め。

 【第2章】結婚まであと1年となった15歳の春の午後、部落の若者が息をきらして坂道を登ってくる。「ローマ人が海を越えてやってくる!」 曽祖父の時代に一度ローマの軍団を追い返したことがあり、安心していると、ローマと通じる部族もあらわれ、反抗する周囲の部族は次々に破れ、とうとう自分達の領地にローマ人が侵入。Bivana の父も兵士として隊列を組み族長や呪術師とともに出陣するが、近隣の村々がすでにローマ人に破壊されたとの報に、引き返してくる。Bivana 達は自分達の部落を捨て、二重の城壁に囲まれた村に集結。一夜、森の奥深くで部族全員を集め呪術師の祈祷がとり行われる。狂女 Dumna をいけにえにして。しかし、ついにローマの巨大軍団が川の向こうがわに陣を構える。最新兵器の威力の前に必死の戦いも空しく、城壁は破られ、一方、受けた傷のせいで Bivana は気を失ってしまう。


《第2部》 ローマへ
 【第3章】気がついたときには首のまわりに鎖がつけられていて、他の少女達と港のある南部へ移動中。初めて見る海、無数の大きな船。何日も続く船旅。「石の都」ローマへやっと到着。風呂へ入れられ髪を切られたあと、奴隷市へ。一人の奴隷頭に買い取られ、ラバに引かれた荷馬車で郊外のお屋敷へ。料理人頭の手伝いとして働くことになる。言葉が全く分からず、Bivana という自分の名前は、よく似た Barbara (野蛮人の意味もある)にされてしまい、自分にはもとの故郷を思い出すものが何もなくなってしまったと感じる。

 【第4章】定期的に仲間の奴隷達と行くローマの大浴場のさま。料理頭にこき使われながら、少しずつ言葉が分かり話せるようになる。Saturna の祭日は奴隷達には無礼講の日。お屋敷に招かれ、お館の主の Marko の挨拶のあとご馳走がだされ、お風呂も開放される。その機会を利用して Bivana に言い寄ろうとした若者を、主人つきのギリシャ人奴隷 Filono が追いやってくれる。奴隷達には女神 Fortuno が祭られている遠くの町の巨大な寺院への遠足が許される日もある。ある朝、Bivana は、奴隷頭に言われて器に入れたワインを持って主人のところへ行き、そこで Filono が巻物に文字を書いているのを初めて目にする。"Barbara" と自分の名前を書いてくれ、文字がなんであるかを教えてくれるが、呪術的なことを考えて Bivana は気味悪く思う。

 【第5章】陽だまりで豆のさやを取っている時に奴隷頭の女が来て、Bivana に「今夜 Filono のところへ行くように」と言われる。やがて妊娠。それを告げられた Filono は「もし、息子ができたら息子は奴隷にしたくない。自分が自由になる時、息子も買う必要がある」と満足そうに言う。Bivana の持主の女主人 Petronila も妊娠したことが分かり、仲間に「運がよければ乳母になれる」と教えられる。息子 Oresto が生まれたのは奴隷として4年目の秋。Petronila にも女の子 Tulia が生まれ、Bivana は、Tulia の乳母として Oresto と引き離されてしまう。7年目に料理頭がなくなり、代わりに若造が料理頭としてやってくる。物静かな子、Oresto は父親から読み書きを教わり始める。奴隷として早く役に立つようにと学校へも通わされる。一緒に遊んでいた Oresto がいなくなり寂しくなった5歳の Tulia はある朝のどの痛みを訴え、Bivana の懸命のおまじないにもかかわらず亡くなってしまう。


《第3部》 ナザレ人たち
 【第6章】お館の主人 Marko の死。親子3人自由の身となり、kopiisto として開業するべくローマへ。そこで奴隷として一緒につれられて来た女性の一人と再会。Filono の奇妙な宗教の仲間(ナザレ人)。Pedanio 事件。事件に連座させられるかっての仲間だった奴隷から赤子をうけとる。折から妊娠中の Bivana には、二人を育てることは無理で、赤子はもとのお館の若主人のところへ。Biavna に女の子が生まれる。故郷の村の友達の名前、Elvisa をその子の名前に。

 【第7章】Filono の顧客に 聖 Paulo。使徒 Petro もローマ入りする。結婚したばかりの Oresto が 夫婦ともども Petro の熱烈な信奉者となる。ローマの大火。Filono 達は持ち出したわずかなお金をのぞき、すべてを失ってしまう。息子夫婦の消息も不明。

 【第8章】ナザレ人夫婦の厚意でローマの城壁近くに仮住まい。ローマ人によるナザレ人(キリスト教徒)への迫害が始まる...Oresto との再会、そして...

 【あとがき】ローマ近郊の Prenesto で、義理の兄弟の助けを借りて kopiejo を再開...



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