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BIBLIOGRAFIO-10


Invento de l'jarcento

 … 「ラ・モヴァード」  2004年5月号(639号) 9頁
 

  ドラマ3作品と喜劇2作品を載せた、二つ折り中綴じの80頁ほどの小冊子であるが、 その冒頭にあるモデストさんの「演劇」と題するエッセイは大いに示唆に富むもの で、私は一読思わずひざを打った。

  「ザメンホフ博士は演劇が、短期に、しかも効果的に言語の発展に貢献しうること を天才的に理解していて、自ら演劇作品の最高傑作である「ハムレット」「検察官」 「群盗」を翻訳したばかりでなく、当時のエスペラント作家たちに演劇作品を書くよ う一生懸命に勧めた」、そして、「エスペラントで演劇を上演することは、エスペラ ントの存在を示すのに一番自然な方法である。演劇という芸術は、従来から言葉の壁 のために国際的な交流が妨げられているが、エスペラントでその壁を無意味なのもに すれば、演劇の真の国際交流が可能になる」と、彼は言う。

  最初のドラマは、離婚はしたのだがまだ未練がある女性のところへ、元の主人が やってきて離婚届が役所でまだ処理されていないと言い出す話(Pluvvespero)。こ れは喜劇といってもよさそう。そして、中年女優と若い女ドロボウとの会話 (Enŝteliĝi en la koron)と、校長が息子の学校での不審な行動について忠告し に父母を訪ねてくる話(Stela melodio)。前の2作品には俳優や演出家などが書かれ た上演記録が付記されている。喜劇の一つ目は、表題となった、水をガソリンに変え る世紀の大発明をした科学者夫婦の話(Invento de l'jarcento)。ラジオのレポー ター、アラブの大富豪、ドロボウ、さらに隠し妻を自称する美女も出てくる大ドタバ タ劇である。二つ目は、それぞれの娘と息子が結婚したのでやむなく姻戚関係にある 二人の老年女性の話。会社を作ってお金儲けをしようと、都会の出で教育のある母親 の方が田舎出の母親に提案するが、お互いなかなかしたたかで…、といった話 (Eŭropa firmao)。後の作品には上演記録がついている。登場人物をこのように少 し紹介しただけで、面白そうな会話が繰り広げられるに違いないと容易に想像される と思うが、まさに、その面白さ、意外さは、モデストさんの何冊かの短編小説集でも 見事に示されていて、KLEGの図書カタログに「短編の名手」と肩書きがつくゆえんで ある。

    演劇作品なので、当然セリフが中心であり、難しい単語はほとんど出てこない。エ スペラントは易しく流れるようである。ブルガリアの人たちの旧体制下での生活の様 子も垣間見られるし、日本庭園、日本製のビデオセットなど、遠い異国への言及もあ り、「大金持ちになったのだから、エスペラントを勉強して海外旅行しなくては」と か、「(英語ではなくて)エスペラントを習ってるの」などのセリフも出てきて楽し める。

    この本の他に、モデストさんには 'Doktoro Braun vivas en ni/ Kripto' と 'Ni vivos!' の演劇作品を収めた2冊の小冊子がある。後者は、「リディア・ザメンホフ の最後の数年のドキュメンタリー・ドラマ」と副題がついていて、最近のベスト・セ ラーである 'La Zamenhof-Strato' の中で、ザメンホフのお孫さんが語る叔母達の様 子と比較しながら読めばさらに興味がますだろう。

    私はモデストさんに教えられて、演劇作品をエスペラントの学習に役立てられない かと考え始めている。週例会や合宿、林間学校などで仲間と一緒にセリフを暗記し、 お楽しみの夕べ(ガーヤ・ベスペーロ)や、ザメンホフ祭で発表するのである。仲間 が見つけられない場合は、一人芝居をやってみるのも良い。それには、クロード・ピ ロンさんの 'Lasu min paroli plu!' や、'Vojaĝo en Esperanto-Lando' の中にあ るエミリア・ラペンナさんの作品がある。もちろん、自分で創作しても良い。演劇を 演ずるのも、創るのも、それを見るのも案外楽しいことが分かって、エスペラントの ファンに新しい層が加わるかもしれない。 (3月24日、2004年)

  





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