ゴールデンウィークの頃、桜前線は東北地方北部に達しますが、山の上ではまだ積雪も多く、冬の名残が感じられます。聞いた話では2週間後の5月中頃には新緑がまぶしくなるそうで、冬から春への季節の変化は目まぐるしいものがありそうです。
標高1500mあまりの八幡平へは、例年4月の下旬から11月下旬まで、路線バスで山頂近くまで行くことが出来ます。今回は秋田新幹線も発着する田沢湖駅を出発地としました。駅から田沢湖畔(春山)まではバスで約15分、八幡平山頂行きのバスも湖畔に立ち寄るほか、湖岸を40分かけて一周する路線もあります。
右手に秋田駒ヶ岳を見ながら田沢湖を後にすると、玉川に沿って上って行きます。トンネルを抜けると左手に秋扇湖が現れます。鎧畑ダムによってできた人造湖です。
更に遡って行くと、前方に玉川ダムが現れ、今度は右手に宝扇湖が広がります。ダムの高さは約100m、総貯水量2億5400万立方mと全国第10位の規模で、展望台などが整備されています。
ダム湖が尽きると、右手玉川の中州に温泉宿が見えてきます。新鳩ノ巣温泉で、国道から釣り橋が架かっており、近くにはミズバショウの群生地もあります。ここから玉川温泉までは冬季通行止め、ゴールデンウィークの頃でもこの先は道路沿いにまで雪が残っているようになります。
つづら折りの道を上り、田沢湖畔からおよそ1時間で標高800mの玉川温泉に到着します。PH1.1の強酸性の温泉で、バス停から少し下ったところに温泉街があります。ダイヤに余裕があればここでしばらく休憩となります。
標高約1000mまで上ると、トコロ温泉の手前まで一旦下ります。直進すれば鹿角市内に至りますが、バスは右折して八幡平アスピーテライン(県道西根八幡平線)に入り、再び上りにかかります。
しばらくすると右手に大沼が現れ、この周辺が八幡平温泉郷となります。先に進むと地獄めぐりのある後生掛温泉、更に先、アスピーテラインから少し外れたところにはふけの湯温泉があり、いずれもバス停が近くにあります。
温泉郷を過ぎると、道の両側に雪の壁が連なり、ゴールデンウィークの頃でもバスの車高以上の雪の回廊が見られます。温泉巡りを楽しむ人の他、春スキーヤーの姿もちらほらと見えます。
田沢湖駅からおよそ2時間20分で、秋田・岩手県境の八幡平頂上に到着、バス停のある見返峠でも標高1500mを超え、1613mの山頂まではハイキングコースをたどって約20分とのことですが、まだ雪も多い時期では軽装では無理のようです。
バス停の前にはドライブインがあり、ここから八幡平山麓の樹海や、正面に岩手山の勇姿を望むことが出来ます。
盛岡方面へは、岩手県北バスの便があり、見返峠から少し南に下った蓬莱山荘が始発地となります。八幡平頂上と同じ位置にある岩手八幡平山頂のバス停からしばらくは雪の回廊が続きますが、標高1000mを切った八幡平観光ホテルからは雪もまばらとなります。
このあたりから車窓が白から茶褐色に変わります。松尾鉱山跡で、廃墟となった鉱山住宅など周囲の景色に対して異様な光景が見られます。
鉱山跡を過ぎると木々の緑がまぶしく映り、八幡平山頂から1時間でやがて大更上町の停留所に到着します。盛岡まではさらに1時間ですが、ここから花輪線の大更駅までは徒歩10分ほどです。